「航空機事故」の「驚くべき原因」を解き明かす米国人気番組...そこから学ぶ「信念と失敗への向き合い方」
「失敗の価値」を認識する
NTSBは「事故原因の徹底的な調査」だけを目的にしていません。番組の最後には、原因が判明した後、再発防止のためにNTSBがどのような行動をしたかが知らされます。 機体の欠陥であれば、当該機体の運行停止、改良の勧告、整備不良やパイロットのヒューマンエラーならその背景を調べ、同様のことが起きないように航空会社に勧告します。 たとえば、パイロットが超過勤務で疲労していたことが原因であれば、搭乗シフトを緩和し、搭乗前の体調チェックを厳格化するといった具合です。計器が見間違えやすいという結論が出れば、計器の改良で視認性を上げるだけでなく、パイロットにも見間違うことがないように研修を強化します。 「二度と同じ原因で事故が起きないように」、これがNTSBの信念だとわかる番組です。 失敗は決して珍しいことではありません。大なり小なり、誰でも失敗の経験はあるはずです。その失敗に蓋をしないことが重要なのです。 失敗を分析すれば、原因がわかります。原因がわかれば、対策が取れます。多くの経営者、起業家は、失敗したことを「実験」と語ります。「この方法ではだめだとわかった」、というわけです。着目するのは失敗から得ることができた、学びという名のポジティブなエネルギーです。 これこそまさに「失敗の価値」なのです。 『ただの失敗と優れた失敗...「優れた経営者」だけが知っている「失敗から学べ」の本当の意味』へ続く
山川 恭弘