高橋優インタビュー/主催フェス開催間近「一緒に楽しい時間にしようっていう意味がどんどん深くなっていっている」
私たちの街にキャラバンがやって来た!
――『秋田CARAVAN MUSIC FES 2024』の開催が間近に迫ってきました。これまで続けてきたからこそ感じる今の心境を教えてください。 そもそもこのフェスを始めたきっかけが、少しでも秋田を元気にしたい、盛り上げたい、そして秋田からもらったものをちょっとでも秋田に返せたらっていう気持ちがあったんですけど、2020年、2021年とコロナの影響で開催できなかったり、昨年はフェスの2カ月前に豪雨被害があったり。で、今年も台風による被害があったんですよね。『秋田CARAVAN MUSIC FES 2024』の開催を重ねるにつれて、一緒に楽しい時間にしようっていう意味がどんどん深くなっていっているような気がするんですよ。もしかしたら、楽しみたいけど楽しめない状況の人もいらっしゃるかもしれない。だから、一緒に楽しむっていうことへのプライドというか、冷静に考える部分と、はち切れんばかりの楽しさを自分が率先して表現していかなきゃっていう思いがありますね。 ――秋田県内の13ある市を毎年キャラバンしていくというのは、本当にオリジナルな発想だなと思います(※今年は能代市での開催)。改めて、高橋さんのなかで、キャラバンしていく意味というのをどのように考えていますか? 僕自身の経験として、ずっとカセットテープで聴いていた人が、自分の街に来てライブをやってくれたことがあるんですよ。それはもう人生の中でのハイライトなくらい感動したし、今でもその時の気持ちとか景色とかって甦ったりするんですよね。あれがあったから自分もパフォーマンスをする人になったんじゃないかって思うくらい。だから『秋田CARAVAN MUSIC FES 2024』をやっていて、手応えを感じられる感想のひとつが、「二ツ井中央公園(※能代市にある野外多目的広場。今年の会場となっている)に斉藤和義が来るの!? だってあそこ私の家からすぐだよ!」みたいなことなんですよ(笑)。もしかしたら大人の人たちは――それこそさっきの話ではないけど――そういう感動を抑えるブレーキが備わっちゃってるから、そこまで大騒ぎはしないかもしれないんですけど、でも子供は素直に震えるくらい感動するんですよ。僕もそうだったから。目の前で実際にパフォーマンスを見ることの経験って本当にかけがえのないものになりますからね。あと自分のことだけで言うと、秋田出身ではあるけれど、まだまだ行ったことのない場所や知らないことがあるから、自分も秋田のことを知りながらフェスをやれるということがありますね。だから毎年「秋田キャラバンガイド」というフリーの冊子を作って、実際に僕がその年に開催される市で訪れた場所をガイドしています。こんなに素晴らしい人たちがいて、こんなに素敵な場所があるから、フェスが終わったらぜひ行ってみてくださいっていう思いも込めて。 ――ここまで、全国47都道府県弾き語りツアーや新曲「現下の喝采」、そして『秋田CARAVAN MUSIC FES 2024』と、お話を伺ってきました。そのどれもに共通しているのは、今の高橋さんは動くことで何かを掴んだり、表現したりする、というモードなのかなということでした。 ああ、そうかもしれませんね。あんまり家の中でゴロゴロしていてもろくなことはないですからね(笑)。とあるフィジカル系マガジンの取材を受けたときに編集の方がおっしゃっていた言葉を思い出したので言っておくと、「人生の中で一番重い扉は家の扉だ」ということです(笑)。外に出て、見慣れた景色を見ることでも何かしら発見があるかもしれませんし、家の扉を開けなければ本質的な出会いも何もないですからね。外に出ることは、もしかしたら勇気がいることかもしれないけれど、喝采が待っていると思って、その扉を開けてほしいですね。 Text:谷岡正浩 衣裳協力:SOPH. スタイリスト:上井大輔(demdem inc.) ヘアメイク:眞弓秀明 <リリース情報> デジタル・シングル 「現下の喝采」 9月11日(水) 配信リリース <ライブ情報> 『秋田CARAVAN MUSIC FES 2024』 9月21日(土)・22日(日) 秋田県能代市・二ツ井中央公園 11:00開場 / 13:00開演 / 19:00終演予定 ■9月21日(土)出演 白神STAGE:高橋優、AI、氣志團、Saucy Dog 鳥海STAGE:キンタロー。、とにかく明るい安村、ラパルフェ ■9月22日(日) 出演 白神STAGE:高橋優、キタニタツヤ、斉藤和義、私立恵比寿中学 鳥海STAGE:だしおさん、ニューヨーク、街裏ぴんく