【存続の危機】路線バスを追い込んだのは軽自動車の普及と少子化...9割が赤字経営!運転手不足「バスの代わりはバスしかない」と語る専門家と考える将来の道筋
ドライバー確保への取り組みと課題
バス業界が直面するドライバー不足の問題に対し、各社は様々な取り組みを行っています。 まず、『免許取得のハードルを下げる取り組み』が進められています。従来、大型二種免許の取得には普通免許取得後3年の経験が必要でしたが、国の制度緩和により、特別な講習を受ければ1年で取得できるようになりました。 さらに、免許を持っていない人材の確保にも力を入れており、「普通免許さえあれば、会社で大型二種免許を取得させます」という企業も増えています。 『女性ドライバーの採用』も重要な取り組みの一つです。しかし、長年男性社会だったバス業界では、女性用の更衣室や十分な数のトイレが整備されていないなど、職場環境の改善が課題となっています。 『パートタイムドライバーの採用』も進められています。これにより、フルタイムで働くことが難しい人材も活用でき、人手不足の緩和につながることが期待されています。 『外国人ドライバーの受け入れ』も一部の地方都市で行われていますが、最近の円安の影響で、外国人労働者の確保が難しくなっているという新たな課題も浮上しています。
かつての「黄金時代」が生んだ誤解
なぜ、日本では民間企業が路線バス事業を担ってきたのでしょうか? 背景には、1960年代後半~70年代にかけての「黄金時代」がありました。高度経済成長期には、人口増加や山間部の都市化が進み、バスの需要が急増していました。 日本は、『人口密度』が高く、バス路線を効率的に運営することが可能だったため、民間企業でも十分に採算が取れました。この状況下で、地元の名士たちがバス事業の収益性に目をつけ、次々と参入していきました。有名な政治家である田中角栄氏も、越後交通の社長を務めていたほどです。さらに、バブル期には、バス会社が保有する土地の値上がり益によって、赤字経営を補填することもできました。 しかし、これらの状況は、あくまでも「特殊な時代」のものでした。バブル崩壊後、人口減少などの進展により、バスの利用者は減少の一途をたどりました。