【存続の危機】路線バスを追い込んだのは軽自動車の普及と少子化...9割が赤字経営!運転手不足「バスの代わりはバスしかない」と語る専門家と考える将来の道筋
深刻化する運転手不足
赤字経営に加えて、バス事業者を悩ませているのが深刻な運転手不足です。 京都市バスでは、今年6月に運転手不足の非常事態宣言を発表しました。毎日50~60人もの運転手が不足し、残業や休日出勤を強いられるなど、厳しい労働環境が浮き彫りになっています。 新規採用も難航しています。京都市バスが70人の新規採用を募集しましたが、応募者は47人にとどまりました。ある路線バス会社では、「バスマニア」や「バス大好きの人」しか応募してこない状況だといいます。これは、バス運転手という職業の魅力が一般的に低下していることを示唆しています。 全国的に見ても、バス運転手の数は年々減少しており、現状で2万人不足、このままでは2030年には約3万6000人が不足するという試算もあります。
運転手不足の背景に「厳しい労働環境」
バス運転手の不足には、以下のような理由が考えられます。 まず挙げられるのが『過酷な労働環境』です。 早朝深夜勤務、乗客対応、運行管理など、バス運転手の仕事は肉体的にも精神的にも負担が大きいものです。 そして『低賃金』。 バス運転手の平均年収は、全産業平均よりも50万~100万円も低いといわれています。しかし、バス会社側も簡単には賃上げできない事情があります。人件費が総コストの50%以上を占めており、これ以上の賃上げは経営を圧迫してしまうのです。 さらにキャッシュレス決済への対応、外国人観光客への対応など、業務は増加しているにもかかわらず、賃金や労働時間などの待遇改善が進んでいません。 他にも近年では、SNSの普及により、運転手のちょっとした行動が簡単に拡散されてしまうリスクも増大しています。例えば、車両を離れて短時間の休憩を取るだけでも、批判的な投稿の対象にされる可能性があります。このような状況が運転手に精神的な負担をかけています。 かつてはトラック運転手からバス運転手への転職が多かったのに対し、現在はバスからトラックへの転職が増えているという逆転現象も起きています。