「名古屋コーチン」は小牧で生まれ、オール愛知で育んできた地域の食文化~大竹敏之のシン・名古屋めし
発祥の地で味わう郷土料理「名古屋コーチンのひきずり」
名古屋コーチンを使った郷土料理といえば「ひきずり」です。これはようするにコーチンのすき焼き。鍋の底で鶏肉をひきずるように焼く、大晦日にその年の厄を引きずらないために食べるから…など、名前の由来については諸説があります。庭で鶏を飼う家も珍しくはなかった昭和20~30年代までは、小牧をはじめ尾張地方各所で食べられていたと伝わります。 発祥の地、小牧市でひきずりを食べられるのが「名古屋コーチン石焼・日本料理『かな和』」です。 「通常メニューとしては紹介していないのですが、ご要望があればご用意しています」とは2代目店主の金和渉さん。名古屋コーチンを扱うようになったのは30年ほど前から。品質の高さでは折り紙付きの稲垣種鶏場(愛知県春日井市)が持ち込んだのがきっかけでした。 「当時、稲垣さんのところも名古屋コーチンの飼育を始めたところでした。試食した父がその味にほれ込んで、うちでもいろいろとメニュー開発をして売り出すようになったのです」 用意してもらったひきずりを実食してみると、一般的なブロイラーなどとはまったく異なるものだと分かります。ギュギュッと引き締まった肉質で、力強い噛みごたえの後にじんわりとうま味がにじみ出てきます。鶏肉特有のくさみは感じられず、皮にも甘みが。卵も濃厚で、つけて食べるとうま味の相乗効果でコクが2倍にも3倍にも深まります。「鶏が苦手、という人にも食べてもらいたい」という店主の言葉にも納得です。 同店では、コーチンの石焼きや、うなぎと合わせて食べられる炭火うな鶏まぶし、玉子丼・カツ・プリンなどを組み合わせたコーチン三昧セットなど、多彩なコーチンメニューがあり、肉も卵も、焼いても、煮ても、多彩な味わい方を楽しめるのもこの食材の大きな魅力です。 愛知が誇る伝統あるブランド食材の実力。口にすれば誰もがその奥深い魅力を感じられるに違いありません。 ※記事内容は配信時点の情報です #名古屋めしデララバ
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