「先入観ぶっ壊した」マルチスポーツの先駆者 清原正吾小学6年間担任、慶応・森林貴彦監督語る「自慢の教え子」
◆東京六大学野球秋季リーグ戦最終週第1日 ▽慶大9―1早大(9日・神宮) 慶応(神奈川)を率いて2023年夏の甲子園を制した森林貴彦監督(51)は慶応幼稚舎(小学校)の教諭として、6年間にわたって清原正吾の担任を務めた。「モリバ」「正吾」と呼び合うフランクな間柄。教え子の秘話を明かした。(構成・加藤 弘士) 慶応幼稚舎はクラス替えがなく、6年間担任が変わらないんです。入学したばかりの正吾は、乱暴者(笑い)。言葉が出るより先に手が出ちゃう感じで、注意する機会は多かったです。 小3で野球を始めた頃から、精神的にも落ち着いて。いろんなスポーツでリーダーシップを発揮し、存在感を増していきました。でも3、4年の頃はスーパーヒーローだったのが、高学年になると膝の成長痛にも苦しみ、野球で周りの子に追いつかれることもあったんです。「中学はどこで野球をやるの?」と聞くと、はぐらかすような時もありました。野球を遠ざけたい自分が出てきたのかな、と。中学でバレー部に入ったと聞いて「それもありかな」と思いましたね。 僕のもとに「大学で野球をやりたい」と相談に来たのは、高3の秋です。「そんなの聞いたことないよ。1か月、気持ちが変わらないか待とう」と伝えました。1か月後の11月、「やっぱりやりたい」と言ってきた。2人で堀井監督を訪ねて、入部をお願いしました。 応援しながらも「大学野球はそんなに甘くない。せめて4年間続けてくれたら」という感覚でした。ここまで来ただけで大躍進。正吾の頑張りと、受け入れてくれた堀井監督以下、慶大野球部の懐の深さにも感謝です。 大谷選手の二刀流は“そんなの無理に決まっている”という先入観を破壊しました。正吾も“中高で野球をやらなかった人が大学でできるわけない”という先入観をぶっ壊したと思います。マルチスポーツを志す未来の子供たちに、新しい道を与えてくれたと思っています。心から敬意を表したい。自慢の教え子です。
報知新聞社