「青春18きっぷ」はオワコンなのか?複数人使用、期間をあけての乗車ができない“サービス改悪”で高まる不満
毎年、学生が長期休暇を迎える春・夏・冬に発売される「青春18きっぷ」が、今冬から自動改札機でも使用できるようにリニューアルされた。これまでは利用期間内のうち任意の5日間で普通列車が乗り放題になることから、鉄道ファンや旅行ファンなどに必須のアイテムとされてきたが、今冬のリニューアルはどんな狙いがあるのか、そして今後どういう使われ方をされるのか。毎シーズン、青春18きっぷを使用してきたフリーランスライターの小川裕夫氏がレポートする。 【写真】2020年に姿を消した「青春18きっぷで乗車できる夜行列車」 ■ 旧国鉄が販売に注力した「特別企画乗車券」 鉄道ファンのみならず、旅行が好きという層にも利用される「青春18きっぷ」(以下、18きっぷ)は、1982年に「青春18のびのびきっぷ」として誕生した。このようなきっぷは特別企画乗車券と呼ばれ、JRだけでも多くの種類を取り扱っている。その中でも18きっぷは抜群の知名度を誇り、利用したことがなくても名前だけは知っている人も多いだろう。 18きっぷをはじめとするおトクなきっぷは、旧国鉄が発足する以前から発売されてきた。国鉄が本格的に特別企画乗車券の販売に力を入れるようになったのは、高度経済成長期以降からだ。 高度成長期の国鉄は1964年に東海道新幹線を開業させるなど、鉄道需要が伸びていた時期でもあった。他方、需要は拡大しても収支は1964年を境に赤字へと転落。以降、国鉄の赤字は増え続けていく。 国鉄離れの原因をひとつに絞ることはできないが、道路整備が進んだことや経済成長によってマイカーの所有台数が増えたこと、航空機との競争が激しくなったことなど多々ある。こうした国鉄の苦境もあり、1970年代半ばには赤字体質からの脱却を図るために民営化議論も浮上した。 国鉄は公共事業体という曖昧な位置付けにあった。純然たる国営ではないが、私鉄でもない。だが、職員はお役所的で、サービスや収支には無頓着だったと言われることもある。しかし、決して収支を気にしていなかったわけではない。たびたび需要の拡大策に取り組み、時に民間の手法を大胆に模倣した利用者拡大キャンペーンを打つこともあった。