選択的夫婦別姓、関心薄い自民「慎重派が落選してしまった」「大半はどちらでもよい」 ごまかしの選択的夫婦別姓議論
「一部のノイジーマイノリティ(声高な少数派)に邪魔されて議論の俎上にのぼらされないことは、もう通用しない」。先月17日、東京都内の講演で立憲民主党の野田佳彦代表は選択的夫婦別姓の導入に重ねて意欲を示した。 【アンケート結果】新しい法律で家族が違う名字になったとしたら。賛成ですか、反対ですか 令和3年12月の内閣府の世論調査では同姓維持27・0%、旧姓使用拡大42・2%で、賛成28・9%は少数派だが、野田氏の頭の中では「ノイジーマイノリティー」が逆転しているようだ。「野党はほとんど賛成、公明党も支持している。十分成立させる可能性はある」。 局面が変わったのは昨年10月の衆院選だった。与党が過半数を割り、国会の風景は一変した。衆院の常任委員長ポスト17のうち、立民などの野党は選挙前の2から大幅増の8獲得の見通しとなった。 しかし、結果的に7にとどめたのは、外務、総務両委員長を「返上」した代わりに「あえて法務委員長を取りにいった」(野田氏)からだ。賛否が割れる自民党を揺さぶるだけではなく、夏の参院選を前に推進派の公明との間に溝を作りたい狙いも透ける。 ■早く決めてほしい 自民内でも以前から議論はあった。令和3年3月に推進派の「選択的夫婦別氏制度を早期に実現する議員連盟」(浜田靖一会長)が立ち上がると、翌月には慎重派が「婚姻前の氏の通称使用拡大・周知を促進する議員連盟」(中曽根弘文会長)を設立。 同年6月には政調会のワーキングチームが論点などを整理したが、党を二分しかねず本格的な議論は先送りにしてきた。 別姓推進派の中堅議員は「今は強力に賛成、反対は20人ずつ程度だろう。残りはどちらでもよく、早く党の方針を決めてほしいと考えているのではないか」。 慎重派のベテラン議員は「以前は双方半々ぐらいのイメージだったが、この問題に高い見識を持ち、頼りになる人たちが先の衆院選で落選してしまった」と明かす。 ■修正を加える形で 慎重派の念頭にあるのは「家族の一体感」を大切にする本来の保守層の「自民離れ」が加速することだ。ただ、この問題に関心を持つ議員自体が少なくなったのも今の自民の現状である。 立民が提出予定の民法改正案の衆院審議は、国会の慣例に従えば3月の来年度予算成立後の4月以降となる見通しだ。