WSL史上初のデビュー戦ハットトリック。清家貴子がブライトンで目指す即戦力「ゴールを取り続けたい」
即戦力を大量補強したブライトン。「常に上位にいたい」
――ブライトンは今季、かなり補強に力を入れていますね。ダリオ・ヴィドシッチ新監督を迎え、選手も昨季から過半数が入れ替わり、清家選手を含めて12人の新戦力が加わりました。 清家:そうですね。新加入の選手数や選手層については、代表のイングランド組からも「すごいね」と言われます。ブライトンからオファーをいただいた時も、「即戦力を11人獲得したいと思っていて、その中の1人として来てほしい」と言われていたのですが、監督も含めて、本当に新しいチームなんだと思います。サッカーの色もはっきりしているので、今後、強豪チームにどれだけ通用するのかが楽しみです。 ――開幕から5試合で3勝1分1敗で4位と、リーグのダークホースになりそうです。 清家:ここまで好調ですけど、自分自身はずっとレッズにいたので、同じように、常に上位にいたいという気持ちはあります。WSLの降格争いには関わらず、優勝候補争いに絡むようなチームになりたいですね。 ――サッカーのスタイルについては、どう感じていますか? 清家:最終ラインから、しっかりとボールをつなぐサッカーを目指しています。プレッシャーをかけられてもロングボールはあまり蹴らないので、前から見ていて怖いと感じるときもあります。日本のサッカーに似ている部分もあるなと。プレシーズンも含めてあまり強いチームと対戦できていなかったので、相手に研究された時や、上位のチームと当たる時にどこまで通用するのかが勝負になると思います。
「今まで通りのプレーでは…」レギュラー定着への戦い
――パリ五輪では主力として全4試合に出場しましたが、今季に向けてはどんな課題を持ち帰ったのですか? 清家:個人としては、もっとドリブルで相手をはがしてゴール前に入っていくプレーができたらよかったなと思います。アメリカ戦では1、2回はドリブル突破できる場面があったんですけど、それをできる選手がいるかいないかでチームの勢いもだいぶ変わると思うので、一人、二人ぐらいは抜けるようにしたいなと。今は海外の選手相手にチャレンジできる素晴らしい環境にいるので、日々、積極的に取り組んでいます。ただ、これから代表監督も代わってやり方が変わると思うので、その力をチームに生かせるようにしたいと思います。 ――ブライトンでは、ここまで右サイドで起用されることが多いですが、監督からはどんなことを求められているのでしょう? 清家:ビルドアップに関わるというよりは、ワイドに張って相手と駆け引きするプレーを求められています。縦に突破はしやすいんですけど、得点という部分では少し遠くなる感覚があって、難しさも感じています。突破からのクロスは自分の強みだと思っているんですが、チームとしてはしっかりつないで崩したいという狙いがあるので、ある程度ボールをキープして時間を作るプレーも意識してきました。レッズでは、中央のゴールに近いところでボールを受けてシュートに持っていく形や、縦に速い攻撃でクロスを上げることも多かったので、求められる役割は違いますね。 開幕戦までは、試合に使われるかどうかが勝負だと思っていたので、そういうチームのやり方に徹する中で、開幕から2、3試合は先発で出ていました。ただ、最近は先発で出る機会が減ってきたので、今まで通りのプレーをしているだけではダメなんだろうなと。 ――役割の中で、自分ができるプレーを模索しているんですね。サイドで張っていると、なかなかボールを触れないこともありますよね。 清家:そうですね。うまくいってボールが動けばいいんですけど、練習試合とかでボールが動かないときにはボールにほとんど触れないこともあって、これはしんどいな、と思うこともあります(苦笑)。 ――同じポジションにはフィジカルやスピードのある選手も多いですが、レギュラーに定着するために、どんな違いを見せていこうと考えていますか? 清家:足元の技術は他の選手よりも長けているところだと思いますが、個人で目の前の相手をはがしてゴール前に入っていくところは、もっと成長しないと難しいと思っています。あとは、言葉がまだわからない部分もあるので、戦術理解の面でもっと積極的にスタッフやチームメートとコミュニケーションを取ることが必要だと思い、英語の勉強を頑張っています。