福島第一原発2号機のデブリ、震災後初めて原子炉格納容器外へ…5日以降に放射線量を測定
東京電力は2日、福島第一原子力発電所2号機の溶融燃料(デブリ)の試験的な取り出しで、原発事故後初めてデブリを原子炉格納容器外に移し、放射線を遮断する金属製のスペースに収容した。5日以降にデブリの放射線量を測り、原発敷地外に運び出すかどうかの可否を判断する。
東電によると2日午前9時50分頃、取り出しに使う装置先端の爪状の器具でつかんだデブリを、格納容器外の金属製スペースに収めた。デブリは10月30日につかんだもので、大きさは5ミリ程度、重さは5円玉に満たない3グラム以下とみられる。
東電は今月5日以降、金属製スペースでデブリの線量を測定する。線量が毎時24ミリ・シーベルト以下であれば、スペース外の一時保管用の容器に移し、これで取り出しが完了したことになる。
今回の試験的な取り出しの目的は、最大3グラムのデブリを採取し、その硬さや成分などを分析して、本格的な取り出しのための検討材料にすることだ。今後、茨城県の日本原子力研究開発機構大洗研究所でデブリを分析する。
試験的な取り出しは当初、2021年に実施する予定だったが、装置開発の遅れなどで3年延期した。東電は準備を整え、今年8月22日に着手するはずだったものの、装置を押し込むために使うパイプの接続順序にミスがあったことが判明し、着手できたのは9月10日だった。同17日には、装置先端部に取り付けたカメラの不具合が見つかり、作業を中断。カメラを交換後の10月28日に再開し、同30日にデブリをつかんだ。
福島第一原発事故では1~3号機で炉心溶融(メルトダウン)が起こり、核燃料が炉内の構造物と混ざって推計約880トンのデブリが発生した。デブリの取り出しは廃炉の最難関に位置付けられている。