「気分が晴れないときは深呼吸」「日曜菜園など外に出て、孤独にならない心がけを」精神科医が教える《老人性うつ》を遠ざける6ヵ条
年齢を重ねると理由もなく悲しくなったり、落ち込んだりすることが増えます。それは感情の老化が原因かもしれません。心の平穏を保つための考え方「心をこじらせない6ヵ条」を伝授します(構成=本誌編集部 イラスト=きじまももこ) あなたは大丈夫?「老後うつ」危険度テスト * * * * * * * ◆【その3】孤独にならないちょっとした心がけを よく、ひとり老後=孤独とひとくくりに語られがちですが、そうなるかどうかは本人次第です。 ドイツの作家ヘルマン・ヘッセは、著書の中で、「孤独に身を委ねる者は、まもなく孤独になるということです。そして年を取ることに屈服する者は、すぐに年寄りになります」と述べています。つまり、孤独も老化も抗えば避けられるということです。 とはいえ、人付き合いが苦手という人もいるでしょう。そんな人に私が勧めるのは、日曜菜園です。 自分の畑や借りた土地でのんびり野菜をつくるだけ。誰とも話をする必要はありません。植物に向かって「頑張って育ってね」などと話しかければ、癒やされるのではないでしょうか。 慣れない作業に悪戦苦闘していたら、周囲の人が見かねて声をかけてくれるかもしれません。こうしたきっかけで、会話が始まることもあります。そうなれば、同じ趣味を持つ相手と適度な距離を保ちながらお付き合いをすればいいのです。 また、声に出して話をする機会が減ると孤独感が深まるため、電話をうまく活用するのも手です。話す相手は女性を選びましょう。女性の脳は右脳と左脳をつないでいる脳梁という神経が男性よりも太くできているため、たわいのない話や愚痴でも、ストレスと感じず受け止めてくれます。 深刻な話を聞いても「大丈夫よ」「なんとかなるよ」と、寄り添い励ましてくれて、気分よく電話を終えることができるでしょう。
◆【その4】気分が晴れないときは深呼吸をするべし とくに何か悪いことが起きたわけでもないのに気分がスッキリしない、落ち込む。あるいは、イライラが止まらない――。そんな感情に支配されているときは、深呼吸が効果的です。 人は緊張したり、落ち込んだり、イライラしたりすると、必ず呼吸が浅くなります。呼吸が浅くなると、体内に取り込む酸素量が少なくなるため、脳に行く血液量と酸素量も減って、感情をうまくコントロールできなくなるのです。 全身に酸素を行き渡らせるためにも、横隔膜を伸縮させて行う「腹式呼吸」を身につけましょう。椅子に座り、鼻から息を吸ってお腹を膨らませ、いったん息を止めたら、今度は口からゆっくり息を吐きながらお腹を凹ませる。 夜、眠る前にベッドに横になって行うと、より自然にできるでしょう。 (構成=本誌編集部)
保坂隆
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