迫る衆院選、自民支部長がすんなり公認候補にならない特殊事情 背景に森山裕・県連会長の発言 比例から転身・保岡氏か、前回当選の無所属元知事・三反園氏か 鹿児島2区
石破茂首相が急きょ衆院解散総選挙を打ち出し、鹿児島2区で自民党の公認候補問題が再燃している。2区支部長を務める比例九州選出の保岡宏武氏(51)が意欲を見せる一方、地元県議らからは自民入りを目指す2区選出の無所属・三反園訓氏(66)を推す声もあり意見が割れているからだ。党友好団体が推薦先を決めあぐねる中、県連は6日に対応を協議する。 【写真】式典で隣同士の席に座る保岡宏武氏(中央)と三反園訓氏(中央右)=9月30日、南九州市知覧町郡
支部長は衆院選の公認候補となるのが通例だが、2区は事情が異なる。県連が2023年2月に保岡氏を選任した際、森山裕県連会長が「支部長が公認候補になれるかは定かでない」と、あえて別の手続きであることを強調して異論が収まった経緯がある。「確実に当選できるという評価をもらえるようにしないといけない」とも述べていた。 背景には前回、自民公認候補の金子万寿夫氏(77)を破って初当選し、自民入りを希望した三反園氏の存在がある。無所属で党籍はないものの、衆院内の会派で自民に所属する立ち位置を獲得。次期衆院選が迫り、一部県議から「選挙で勝った方を追加公認すれば良い」という声が出るようになった。 6日の県連会合に先立ち、2区を地盤とする自民県議10人は2日、対応を協議した。出席者によると、奄美群島や鹿児島市南部の県議は「支部長が公認候補になるのが当然」と主張。南薩の県議は三反園氏も推薦して党本部に判断を委ねるべきと譲らなかった。結論は出ず、双方の見解を会合に報告することになった。
党内がまとまらない2区の公認問題は、友好団体にも影響を及ぼしている。 2区以外の県内3選挙区で自民現職の推薦を1日決定した県農民政治連盟。2区は、県連会合での結論を待つ方針だ。 関係者によると、「保岡氏を推すべきだ」との意見に加え、三反園氏を念頭に「県連の対応に合わせては」との慎重論もあり、いったん保留することにした。「党でまとまらなければ自主投票になるかもしれない」との声も漏れる。 火花を散らす当事者2人は選挙区内の行事で同席しても目も合わさない。取材に対し、保岡氏は「支部長イコール公認候補内定者だ。党籍があり、党勢拡大をやってきたのは私以外いない」と自信を見せる。三反園氏は「党本部が決定すること」と多くを語らない。 党本部への公認候補の申請は、7日正午に迫っている。
南日本新聞 | 鹿児島