フォーリンラブ ハジメ、夫婦の不妊治療体験「赤ちゃんをこの手に抱くまで夫婦の6年」
【用語】稽留(けいりゅう)流産
○母体に症状がなく超音波検査でわかる流産 出血や腹痛などのいわゆる流産の徴候はないが、超音波検査で発育が停止(流産)していると診断されるものを稽留流産といいます。子宮内容除去手術を行う場合と、外来で経過を見て自然排出を待機する場合があります。妊娠週数や経過にもよりますが、排出後から妊活再開までに1~3カ月を要します。(林先生)
コロナ禍により妊活を休むことを選択
稽留流産の手術をした時期、世の中はコロナ禍の真っただ中。不妊治療のクリニックから、先行きが見えないため受精卵の凍結期間を延長するという連絡を受け、2人は一度心身ともにリセットして妊活を休むことを選択しました。 数カ月のお休みのあと、再び治療をスタート。ここからもまた試練が続きます。せっかく着床しているのに妊娠に至らない「化学流産(※3)」を繰り返します。 「クリニックを変えてすぐに妊娠することができたのに、今度は化学流産ばかり…。どうして妊娠できないの? と落ち込みました」 クリニックからは、残された時間が少ないので頑張りましょう、とのエール。そこからミホさんは、結果に一喜一憂せず、治療や、妊活のために自分ができることを一つ一つやっていこうと気持ちを固めました。
【用語】化学流産
○陽性反応が出ても超音波で確認できない流産 化学流産(生化学的妊娠)とは、尿や血液を用いた検査で妊娠反応は出たものの、超音波検査で妊娠が確認できる前、つまり非常に早い時期に流産してしまった状態をいいます。ごく初期の流産なので、胎児側に原因があることが多いですが、化学流産を繰り返す場合には母体側の体質(不育症)と関連があるという報告もあります。(林先生)
PGT-A検査を決断。ついに妊娠が確定
次のトライをしようと考えていたとき、クリニックから当時まだ臨床研究中だというPGT-A(着床前遺伝学的検査の一つ)という検査の提案を受けました。ただしこの検査は保険適用がなく、継続的に続けることが前提でした。 「染色体に異常がない受精卵の確率はどのくらいか尋ねたところ、5個に1個という回答があって…。一体いくらかければいいの? と頭の中で思わず計算してしまいました」 一方ハジメさんは、この話をミホさんから聞いたとき、ひそかにこう思ったのだそうです。 「このクリニックに来て、稽留流産と化学流産を繰り返しました。ここまでで4回。PGT-Aが5分の1の確率やったら…。え? 次いけるんちゃうん? って」 ここで2人はじっくり話し合いました。ミホさんは、自分が流産を繰り返していることを受けて、確実な受精卵を移植することが大事だという考えをハジメさんに伝え、やれることはやりきろうということに。 PGT-AではいちばんいいグレードAの受精卵なら移植、グレードBでも妊娠できる可能性がないというわけではないという説明を受け、いざ検査へ。その結果、受精卵はいちばんいいグレードAの判定が出たのです。 2022年2月、妊娠判定を受けに行ったミホさん。否応なしに期待値は高まります。コロナ禍でハジメさんは同席できず、近所のカフェで結果を待つことになりました。 「おめでとうございます!」 妊活を始めて6年、度重なる流産を乗り越えて2人がいちばん欲しかった言葉が返ってきました。すぐに携帯電話からハジメさんにメッセージを送ったミホさん。 “ほら、計算通りやん! 医療の力ってすげえな!!” ハジメさんの予感は的中しました。そこから数週間後、改めてクリニックへ。今度は問題なく妊娠が継続していることがわかりました。 妊娠中は健診のたびにちゃんと育っているのかドキドキしていたというミホさんですが、2022年10月、無事に元気な女の子が誕生。ハジメさんは、仕事が終わるとダッシュ帰宅するほどのメロメロぶりだそう。 6年にわたる妊活を振り返り、こう語ってくれました。 「最初は妊娠がゴールだと思いがちですが、途中いろんなことが起こります。そのときは夫婦でコミュニケーションを取ることが大事。もし迷うことがあったら『妊活たまごクラブ』を読んだらいいよ!!」