3代目メルセデス・ベンツCクラスは後期型へのマイナーチェンジで一気に熟成が進められた【10年ひと昔の新車】
静粛性が圧倒的に向上した4気筒1.8L直噴ターボ
今回スペイン領カナリア諸島テネリフェで試乗したのは、4気筒1.8L直噴ターボの最強力バージョンであるC250と、直噴化されたV6のC350の2モデル。もはやCGIやブルーエフィシェンシーといった環境技術はメルセデス・ベンツにとって特別なものではないようで、全車に当然のように停止時にアイドルストップを行うECOスタート/ストップ機能が標準装備されていた。 まず最初にハンドルを握ったのがC250。C200に乗る僕としては最も気になる存在だ。 走り出して最初に驚いたのは、静粛性が圧倒的に向上していることである。従来の4気筒エンジンは、力感は十分なのだが、音質がザラついていてちょっと質感に欠けるし、高回転まで引っ張ると補機類の駆動音なのかギャーンというノイズも耳についた。しかし新しいC250は別もののようにスムーズである。耳を澄ますとトーボードの奥からわずかにその音が確認できる程度に、遮音性が大幅にアップグレードしている。 C250は、トランスミッションが7Gトロニックになったことも大きなニュースだろう。多段化されたことでわずかな過給ラグを巧く消しているし、100km/h巡航時の回転数も1700rpm程度に低められた。なるほどこれならEU燃費で100kmあたり6.4L(15.6km/L)という低燃費も納得だ。 C350は、現在日本に導入されていないので比較することは難しいが、306ps/370Nmと、直噴化前のC350(272ps、350Nm)に対し大幅にパワーアップしている。そのパワーフィールは日本仕様のC300とはもはやまったく別もの。トルクフルでありつつ軽快さも併せ持っていて、これならV6も魅力的と思わせた。しかもこのエンジン、EU燃費も100kmあたり6.8L(14.7km/L)と、ほとんど4気筒モデルと同等なのだ。 ECOスタート/ストップのレスポンスも満足のいくもの。ブレーキオフでの再スタートは実に素早く滑らか。ただ、直4に比べるとV6は起動時に少しブルンとくるが……。ともあれ、今回のマイナーチェンジで、Cクラスの価値がさらに向上したのは間違いない。(文:石川芳雄)
メルセデス・ベンツ C250 BlueEFFICIENCY 主要諸元
●全長×全幅×全高:4591×1770×1444mm ●ホイールベース:2760mm ●車両重量:1505kg ●エンジン:直4DOHC ●排気量:1796cc ●最高出力:150kW(204ps)/5500rpm ●最大トルク:310Nm/2000-4300rpm ●トランスミッション:7速AT ●駆動方式:FR ●最高速: 240km/h ●0→100km/h加速: 7.2秒 ※EU準拠
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