【闘病】発熱の正体は「ベーチェット病」だった “命に関わる”特殊型とは?
籠谷友實さんは、2006年に不完全型ベーチェット病を発症し、3年後に腸管型ベーチェット病と診断されました。それでも入退院を繰り返しながらも自身の楽しみや仕事を見つけ、体調を安定させながら生活されているそうです。 そんな籠谷さんに、これまでどのようにベーチェット病と付き合ってきたのかについて、話を聞きました。 ※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2022年7月取材。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
発症時は高熱に苦しむ
編集部: ベーチェット病とはどのような病気ですか? 籠谷さん: ベーチェット病は口腔粘膜のアフタ性潰瘍、外陰部潰瘍、皮膚症状、眼症状の4つの症状を主症状とする慢性再発性の全身性炎症性疾患です。ベーチェット病には完全型と不完全型があります。 病気が悪化しやすい活動期と、落ち着いている寛解期を繰り返しながら、病気自体が改善する人もいれば、何年経っても病気に悩まされる人もいます。 編集部: どのような症状があるのでしょうか? 籠谷さん: 口腔内に円形の境界鮮明な潰瘍ができます。皮膚に結節性紅斑様皮疹(発疹)がみられることや眼痛、充血、関節炎など、ほかにも様々な症状が出る場合があります。 編集部: 発症時のことは覚えていますか? 籠谷さん: 真夏の夜中、猛烈な寒気と全身を襲う筋肉痛のような激痛で目を覚ましました。風邪を引いた時の関節痛をひどくした感じの痛みで、身体を少し動かしただけでも激痛が走りました。 昔から扁桃腺の炎症で高熱を出しやすい体質でしたが、喉は痛くないし咳も出ていなかったので、今までとは少し違うなと思いながら、開いていた窓を閉めて、冬用のスウェットと羽毛布団を出したことを覚えています。 熱を測ってみると、体温計は40度を超えていました。夏風邪だと思い風邪薬を飲み、また布団に入りました。 編集部: 病院はすぐに受診しなかったのですか? 籠谷さん: 昼間は関節の痛みや全身の倦怠感はあったのですが、少し落ち着いてなんとか仕事はできる状態でした。しかし、生活にも支障が出るようになったので、近所の内科を受診しました。私が小学生の頃からお世話になっている医院です。 先生は珍しく首を傾げて唸っていました。喉も炎症を起こしていないし、胸部のレントゲンも正常。尿から少しタンパクが出ているだけとのこと。 血液検査の結果は3日経たないと結果がわからないため、その日は解熱のための座薬と、鎮痛剤と抗生物質を処方されて帰りました。 編集部: 大きな病院には行かれましたか? 籠谷さん: 昼間にも高熱が出るようになり、大きな病院を受診することにしました。その際も、内科の担当医は首を傾げて不思議そうにしていましたが「膠原病の類かもしれないから」と、リウマチ科の受診を勧められました。 そのままリウマチ科を受診したのですが、それがいまの主治医との最初の出会いでした。 編集部: すぐに診断は出たのでしょうか? 籠谷さん: いいえ。主治医からは「膠原病だったらすぐにでもステロイドによる服薬治療ができるが、今は高熱と関節炎のほかに決め手となる症状がない。 膠原病としてはグレーゾーンなので、今ステロイドを使ってしまうとこの先の検査の数値が正確ではなくなるため使えない」と説明がありました。「新しい症状が出たら、すぐに受診するように」と言われ、その病院でも解熱鎮痛剤を処方されて帰ってきました。 編集部: ほかにも特徴的な症状はありましたか? 籠谷さん: その翌日、足に激痛が走り目を覚ますと、太ももから足の指先まで2倍ぐらいの太さに腫れあがって、1cm大の赤い発疹ができていました。腫れあがったせいで関節を曲げることも出来ず、皮膚はテカテカに光っていました。 腕にも同じような発疹ができており、すぐに主治医のもとへ向かい、腫れあがった足を見せました。主治医から「口内炎は出来ているか? 先日採血した所は炎症を起こしていない?」と聞かれ、採血した手の甲を見せると、赤く腫れ上がって化膿していました。 これがベーチェット病特有の「針反応」と呼ばれるものだったそうです。さらに、それらを診た上で「女性だから答えにくいかもしれないが、陰部に潰瘍は出来ていないか?」と聞かれました。 できていることを伝えると、主治医は口内炎を見て「これは痛くて辛かったね」と言いながら、説明をはじめました。 編集部: 医師からはどのように説明があったのでしょうか? 籠谷さん: 私の場合は「不完全型ベーチェット病」に分類されると診断されました。不完全型ベーチェット病は、将来的に特殊型と呼ばれる腸管型、血管型、神経型に移行する可能性が高いことや、ブドウ膜炎になってしまうと失明してしまう可能性があることも説明がありました。