カンボジア前国王が愛した“コンソメスープ”とは? 「ザ・キタノホテル東京」のメインダイニングがリニューアル
また、レストランのアドバイザーには、フランス料理の歴史的名店「ラ・ピラミッド」(ヴィエンヌ)のオーナーシェフであるパトリック・アンリルー氏が就任。両氏のタッグにより、正統なフランス料理の技術を基礎に、季節感や日本ならではの食材を組み合わせたメニューが、朝食・ランチ・ディナーで味わうことができる。
シアヌーク前国王が愛したコンソメスープや、彩り鮮やかな野菜のプレッセ
ディナーでは基本のコースが1つ(5品15,000円、ペアリング3品6,000円~)あるほか、アラカルトメニューからお好みの料理を選べる。アラカルトの中でもシェフのシグネチャーともいえるのが「ラ・レジデンス」時代にカンボジアのシアヌーク前国王が好んで飲んでいたコンソメスープ「フォアグラのラヴィオリとライムを添えたコンソメ シアヌーク国王好み」2,600円だ。
国産の牛骨や鶏ガラ、丸鶏、牛のスジでだしを取り、さらに鶏の骨を追加して煮込み、牛の赤身のスネ肉を中心にしたミンチを入れ3日がかりで作り上げている。スープには脂っぽさやくどさがなく、牛や鶏の澄んだうまみが出ている。カンボジアではスープにライムを搾って食べる文化があることから、お好みで数滴ライムを搾るのもおすすめだ。じんわりと酸味とほのかな苦みや渋みが口の中に広がり、スッと体になじむ滋養のスープになる。
スープの上に浮かぶのは、鴨のフォアグラをワンタンで包んだラビオリだ。これはシアヌーク殿下の提案がヒントになったという。ツルッとしたワンタンののど越しが心地よく、フォアグラのクリーミーで濃厚な味わいがコンソメスープに花を添える。付け合わせに添えた揚げ物も、カンボジア料理をアレンジしたもの。現地ではタロイモを使うところ、同店ではサトイモの細切れを衣にして、パンチェッタを包んで揚げた。ガリガリとした食感のクリスピーな揚げ物は、あとからサトイモと豚の甘さを感じ、コンソメスープとの対比も面白い。
「ザ・キタノホテル東京」は世界各国からのゲストが多いことから、ヴィーガンメニューも展開している。その中でも特に存在感を放つのが「能登 高農園 有機野菜のプレッセ」3,100円だ。 ファインダイニング御用達の「NOTO 高農園」のオクラ、ブロッコリー、カリフラワーなどの有機野菜10種類を翡翠色のキャベツで包んでおり、しかもそれぞれの野菜に「NOTO 高農園」のレモンタイムとマジョラム、レモンで香り付けした瀬戸内産のオリーブオイルで下味をつけたうえで、異なる調理を施しているのだ。