栗原はるみの京都のお気に入りは意外にも立ち飲み!女性一人でも行ける気楽な場所
発売後、すぐに重版となり話題となっている料理家・栗原はるみの初のガイドブック『私の京都』。「有名な観光地や高級な飲食店もいいけれど、今回は一人でも行ける“普段の京都”を知りたかった」という栗原さんが、自分の足で探して選んだ、お気に入りの場所を紹介しています。 今回、そのガイドブックの中から、見所をお届けします。 正直、どのページを紹介したらいいのか、すごく迷いました。 京都のガイドブックは色々ありますが、『私の京都』は、さすが栗原はるみさん!!というラインナップ。 こだわりはあるけれど気取らず、決して敷居の高くないお店がほとんどで、要するに行ってみたいところばかりなのです。 この本は、神社仏閣や京土産も押さえつつ、1万個以上あるボタン専門店、雑貨や食品も売っている本屋さん、昼間は木材店で夜は立ち飲み屋、約700種の食材のほとんどが量り売りのスーパーなど、様々なジャンルのお店が載っています。 中でも珍しいなと思ったのが、ピクニックセットを貸し出すコーヒー専門店。 京都の中心部を流れる鴨川は、高野川と賀茂川が合流したものですが、実はこの二つの川沿いに延々と続く桜並木は、それはそれは見事で観光客もほとんどいない穴場。 そんなところでピクニックができるなんて、京都ならではの贅沢と言えるのではないでしょうか。 そしてやはり気になるのは、美味しいものをよーく知っている栗原はるみさんが、どんなお店を紹介してくれるのか。 京都らしい割烹料理やうどん屋もあれば、町の中華屋、ちょっと小洒落たランチが食べられる店や、趣のある喫茶店etc……と続く中、意表を突かれたのはこちら!! なんと栗原はるみさんが、酒屋に併設された立ち飲み屋「角打(かくう)ち」で、昼から飲んでる!! 栗原さんのお人柄を映し出すような“はるみスマイル”が、この本にはいっぱい出てくるので、ついついこちらも楽しくなってしまいます。 しかも、どのお店もほかとは違うこだわりがあって、それがまた楽しい。 例えば、アンティークグラスで山椒を使ったジントニックが、昼の2時から 飲めるバー。 シナモン醤油に漬け込んだ鶏の肝焼きなど、スパイス使いが上手い居酒屋さんなど。 「最近一人でも飲んで食事ができる店を探してる」と書いてある通り、女一人でも行けそうな居酒屋も、たくさん載っています。 これは有難い!! 旅先で、女一人で気楽に入れる店を探すのって、実はすごく難しいので。そしてできれば、気さくな店主がいる店がいい。 この条件にピッタリはまるのが、3兄妹が営む「通しあげ そば鶴」。 お店のある場所が京都の中心部ではなく、少し離れた“一乗寺”でちょっと驚きましたが、すぐに合点がいきました。 「私の好きな散歩道」のページでは、三つのエリアが紹介されていて、その中に一乗寺があるのです。 なんでも栗原さんは、地下鉄で出町柳まで行き、そこから叡山鉄道に乗り換えて三つ目の一乗寺によく行くのだとか。 確かに桜や紅葉シーズンは、京都の中心部はどこもかしこも人でごった返し、 歩くのも困難です。バスも大混雑で、通常なら50分で行けるところを2時間以上ぎゅうぎゅう詰めの立ちっぱなしだったこともあります。 だから鉄道を上手に利用するのは、京都を知っている人の楽しみ方だと思いました。 もう一つ、せっかく京都に行くのであれば、京都でしか手にはいらない日持ちしないものも食べたい!! 次に行くときは絶対に買うぞ!! と決めたのが、「京生麩 菊水」の麩饅頭。 関東の人間からすると、生麩も麩饅頭も馴染みがなく、特に食べたいとも思わなかったのですが、栗原さん曰く「はじめて食べたときのおいしさは忘れられません。これまで食べたどんな麩饅頭とも違う」のだとか。 これは是非とも食べてみたい!! 実を言うと私は、仕事で3年ほど毎週京都に通ったので、もう行きたいところもなく、京都は打ち止めだなと思っていたのですが、『私の京都』を見て考えを改めました。 付箋がいっぱい付いた本を眺めながら、ここ行きたい、これ食べたいと旅の計画を練るだけでも楽しい。 ありきたりの京都ではなく、ちょっと大人のひと味違う京都を味わいたい人にピッタリの本だと思います!! 文/黒田順子 出典/講談社BOOK倶楽部 講談社BOOK倶楽部では、ほかにも多数の話題本のレビューが掲載されています。