今の子はわからない?『名探偵コナン』懐かしのアイテムがカギを握ったエピソード
青山剛昌氏による『名探偵コナン』(小学館)は、連載30周年を迎えた今でも勢いが衰えることがない。漫画の売上や劇場版の興行収入を好調に伸ばし続けている人気作品だ。 ■【画像5枚】「そっくり!」日向坂46にDAIGO、えなこも…芸能人が披露した「コナン」のコスプレ■ 30年という長い時間で描かれたさまざまなエピソードの中には、今からしてみれば「レトロ」なアイテムがトリックに使われていることもある。昔は当たり前に使われていたけど、時代とともに風化してしまった物だ。 そこで今回は、今の子には分からないかもしれない、「懐かしのアイテム」が事件の鍵になっていたエピソードを紹介したい。
■FAXを使って火事を起こす
まずは、今ではすっかり利用する人が減ってしまったFAXから。FAXはメールの添付ファイルのようなもので、文書や画像を電話回線を使って送る機器である。 そんなFAXを使ってどんなことがおこなわれたのかというと、遠隔操作による火災の発生だ。コミックス18巻収録の「初恋の人思い出事件」で使用されたトリックで、犯人がケーキのろうそくとFAX用紙を利用して火事を意図的に起こしたのである。 仕組みはいたって簡単で、FAXの真下に火の付いたろうそくがささったケーキを置いておき、コンビニからFAXを送信。文書を受信して出てきた用紙に火がつくというものだ。それによって時限発火装置の完成ということである。 なかなか斬新なトリックだが、ロウソクの火が消えたり、紙の落ちる位置が合わなかったりといったわずかなミスで火がつかない可能性もあるのではないか?と思ってしまわなくもない。 現在ではFAXを置いてある/使っている家庭は数少ないはずなので、ほぼ不可能なトリックだといえるだろう。
■レンズ付きフィルムでアリバイ偽装
続いては、「レンズ付きフィルム」を使ったトリックだ。レンズ付きフィルムは簡単に言えば「使い捨てカメラ」のようなもので、決められた枚数を撮り切ったらおしまいのカメラである。 そんなレンズ付きフィルムがアリバイ作りのために使用されたのが、コミックス6~7巻に収録されている「天下一夜祭殺人事件」である。その利用方法は、1年前にアリバイ用の写真を撮っておくというものだ。そうすることで犯人は犯行時刻、山に火文字が作られる祭り会場を訪れていたと主張する。 1年前に火文字が順を追って灯されていく様子をバックに撮影しておき、最後の仕上げは犯行日当日に誰かに撮ってもらう。そうすることで、最初の文字から最後の文字ができるまでずっとそこにいたかのように錯覚させる。犯行時刻は最初の文字が灯された頃なので、それでめでたくアリバイ成立というわけだ。 レンズ付きフィルムには日付が入らないタイプのものもあり、そうなると実際にいつ撮ったものかは判断できない。しかも撮り直しができないので、途中の加工や修正なども不可能である。それも犯人の狙いだ。 しかし、1年前と天気や状況などが変わっていると成り立たないトリックでもある。そこは運任せというところだろうか。 作中では、腕時計の日焼け跡を指摘されてトリックを崩されている。いくら写真だからといって、1年前とまったく同じ状況を再現するというのは難しかったようだ……。なかなかに詰めの甘い犯人だった。