今の子はわからない?『名探偵コナン』懐かしのアイテムがカギを握ったエピソード
■留守電を利用してアリバイ工作
最近利用することが減ったのは、FAXだけではなく固定電話もだ。そんな固定電話にある留守電機能を利用したトリックが、コミックス13巻収録の「三つ子別荘殺人事件」に登場した。 それは本体の時刻を操作したうえで留守電のメッセージを入れ、本体の時刻を戻しておくというものである。そうすることで、犯行時刻に犯人が別の場所で電話を掛けたというアリバイを作ることができてしまうのだ。 留守電の機能は受け取った時刻を読み上げるので、その機能を逆手に取ったトリックである。自動的には時間を修正できないという点もうまく利用された。 今のスマホだと時刻を自動修正する機能が付いているので、このようなトリックはもう使えないだろう。
■ポケベルが演出に使われる
最後はポケベルが使われたエピソードを紹介していこう。ポケベルは電話で打ち込んだ番号を文字変換してくれる機器で、サービスは2019年に終了した。 コミックス26巻収録の「意味深なオルゴール」で、ポケベルは犯行のトリックではなく、死者からのメッセージのような形で使われる。それによって恐怖心を煽っていた。 このエピソードで殺人事件は起こらないが、ポケベルがきっかけとなってストーリーが始まり、ポケベルでハッピーエンドになっている。依頼人である春菜と彼女の「ベル友(ポケベルを使ってやりとりする友だち)」、そしてその孫の関係性に心あたたまる物語だった。 1999年に掲載されたエピソードなので、当時はまだポケベルも使用されていたが、かなり下降気味の時である。1995年に起こったPHSの登場や携帯電話料金の引き下げなどが衰退のきっかけとなったからだ。 現在利用しているスマホもいつかは別の機器へと代替わりして、なくなってしまうかもしれない……。 犯行に使われるトリックには、その当時便利だと思われたものや広く使われていたものが利用されるケースもある。みんなが当たり前のように使っていると、なじみがあるしイメージもしやすいからだろう。 だからこそ、時代にともなってトリックが変わっていくのも自然な流れである。今後どんな変化が見られるのかも楽しみだ。
大山元