「世界に認められた」 新潟・茨城・宮城…各地の酒どころ、無形文化遺産登録に歓喜
「伝統的酒造り」が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録されたことを受け、各地の酒どころでは5日、「世界に認められた」と歓喜の声が広がった。「日本の酒」の国際的認知度を高めるきっかけとしての期待の一方、「文化を継承していく責任を感じる」と決意を新たにする声もあった。 【写真】古来の技術が受け継がれてきた伝統的酒造り 「先人たちが育んできた伝統文化や技術が世界に認められた」。新潟県酒造組合会長でもある同県魚沼市の「緑川酒造」の大平俊治社長(67)はこう喜んだ。同県は国内最多の蔵元数を擁する酒どころで、花角英世知事は5日、「新潟清酒の多様な楽しみ方を発信し、地域活性化につなげたい」と意気込んだ。 水戸市の「吉久保酒造」がつくった日本酒「一品純米大吟醸」は、大谷翔平選手が今季加入し大活躍した米大リーグ・ドジャースの本拠地スタジアムのVIPルームのメニューに採用されたことで話題になった。来季もメニューに残るかどうかは今後決まるが、吉久保博之社長(44)は「(登録により)世界中で注目されるし、後押しになる。かなり期待できると思う」と語る。 「日本酒の造り手として、文化を継承していく責任を改めて感じる」と気を引き締めるのは、宮城県大崎市で地酒を手がける「一ノ蔵」の鈴木整社長(55)。群馬県川場村の「永井酒造」の永井則吉社長(52)も「登録(の効果)を一過性のものとせず、官民一体となって長期的、戦略的に魅力を伝えていくべきだ」と強調した。 兵庫の灘、広島の西条と並んで「日本三大酒どころ」とされる京都・伏見。日本酒「富翁」をつくる北川本家(京都市伏見区)の北川幸宏社長(60)は「12月は1年で出荷数量が一番多い時期。最良のタイミングで登録になった」と笑顔。その上で「酒造りはそれぞれの地域で風土や歴史とともに行われてきた。それらの要素を次世代につなぎ、守っていかないといけない」と誓った。 伝統的酒造りは、沖縄特産の焼酎「泡盛」も含む。沖縄県の玉城デニー知事は「泡盛の魅力や沖縄の歴史、風土など文化的価値を広められるよう取り組む」と述べた。