愛犬のために入院を拒み自宅で酸素ボンベ 人と動物双方を救うカギは多機関連携
他機関連携に期待を
このように犬猫を抱え立ち行かなくなった場合、多くの機関がかかわることになります。 例えば、困窮者を発見するのは、地域の民生委員やソーシャルワーカーかもしれません。また本人が市町村に相談したことから発覚することもあるでしょう。そして動物面では、保護団体や愛護センター職員などがかかわることになります。 しかしながら、それらの機関は日々一緒に仕事をしているわけではなく、特に保護団体は民間活動です。また該当者自身がヘルプを出してない場合は、説得するのにも誰がどう動くのか、ということも多く、そうしているうちにどんどんと状況は悪化していきます。 「ただ、私たちが活動する上田市は行政が主動をし、こういったケースの情報共有や勉強会などを年に数回は行っています。そういった意味では私たち保護団体へ犬猫を丸投げするわけではなく、一緒に問題解決をするスキームはあると感じています。直近の会議では、リスクの高い案件をキャッチした機関がどこに連絡をするのか、その案件は緊急度が高いのかなどがわかるフローチャート活用の案が出て、実行へと動いています。多くの機関がかかわるからこそ、わかりやすく情報が流れる工夫も必須ですね」(松井さん) 「私はペットを迎える人の精査が必要な段階にきていると考えています。ヨーロッパでは講習会を受けないと犬を飼育してはいけない、とする行政もあります。それに比べ、日本では特に知識はなく、また月々数千円のローンで犬猫を買うことができます。これは大きな問題だと思います」 (横山さん) 日本は犬の頭数が減っています(猫は平行線)。ペット業界の方は問題視をしています。しかしながら、日本の現状はあまりに犬猫に不都合にできていて、真摯に向き合う姿勢を人間側が問われているタイミングなのでは、と私は感じています。 犬猫と暮らすことはすばらしいことです。それは誰しも異論はないはず。しかしながら、一緒に暮らす知識や覚悟、そして飼い主の人生設計を見越したうえで、共に暮らす選択をすべきだと思います。一方で、人の人生はいつ何時、何が起こるかわかりません。そのときに多機関連携で人も犬猫も同じ気持ちと手厚さで救えるセーフティネットの構築は、今後多くの地方行政で必要となるに違いありません。