世界王者として今年を有終の美で締め括ったのは織田夢海「ワールドスケートボードストリート世界選手権2023東京」女子決勝
【ラン2本目】 西矢やレアウのように1本目から高得点を残す選手がいる一方で、ミスやトリックチョイスから思うように得点を伸ばせない選手もいる中で迎えたラン2本目。全体的には1本目でフルメイクした選手ほどミスをして得点を伸ばせず、1本目でミスした選手ほどしっかりまとめて得点を伸ばしており両極端の展開のイメージを受けた1本だった。 1本目では先にライディングした西矢とレアウのプレッシャーを受けたのか、フルメイクできないでいたのは今年の全日本チャンピオンである織田夢海。しかし2本目では見事修正し、さらに1本目では入れていなかった「キックフリップフロントサイドボードスライド」を加えて、彼女しかできない「フロントサイドクルックドグラインド」などを決め切りランをフルメイクで終えると、ベストスコアを84.22ptへ引き上げて決勝ラン最高得点を叩き出し最高の流れでベストトリックを迎えた。過去のワールドスケートボーディングツアー(WST)4大会中3つの大会で表彰台に上がっている彼女はここ世界選手権でも絶好調な様子を見せた。 一方で対照的になったのは、今年開催された「SLS TOKYO」と「SLS SYDNEY」で優勝し、一気に世界の女子ストリート界の中心人物となったオーストラリアのクロエ・コベル。準決勝を1位通過し今大会の優勝候補として注目されていた彼女は、ラン1本目にレッジセクションで「フロントサイド50-50グラインド to キックフリップアウト」でミスし得点を伸ばせないでいた中、優勝争いに食い込むために1本目でミスした「フロントサイド50-50グラインド to キックフリップアウト」や9段の大きなステアでの「キックフリップ」なども決めるも、中盤で不運にもプッシュでつまずきタイムロス。 その後急いでランに戻っていればあと1トリック入れられていたであろうが、彼女の課題のメンタルが大きく影響したのか一度止まってしまった。スコアは1本目を上回るも62.70ptとなり、優勝争いに再度食い込むにはベストトリックで15点以上が必要となる展開にラン終了後には悔し涙を見せるなど、観客たちも胸が苦しくなるような一面もあった。