世界王者として今年を有終の美で締め括ったのは織田夢海「ワールドスケートボードストリート世界選手権2023東京」女子決勝
【ラン1本目】 世界選手権のような大きな大会であればあるほど、ここで良いスコアを残せるかどうかが精神状態を左右し、その後の展開を有利に進められるかが変わってくるラン1本目。オリンピックルールではラン2本目のうちの良い方のスコアが採用されるため、余裕を持って2本目にトライするためには幸先良いスタートを切ることが重要視される。そんなプレッシャーかかる中でも早々にしっかり80点台の高得点を残したのが優勝候補筆頭である西矢椛とライッサ・レアウだ。 誰が最初に高得点を残して大会の流れを作るのかが注目される中でその突破口を開いたのは西矢椛。どのトリックにも力みがなくリラックスしたスタイルでライディングするのが魅力である西矢は、中央のハバセクションで決めた「バックサイドスミスグラインド」を皮切りに、「ヒールフリップ」のフリップトリックなどをメイクしていき、中盤では彼女の代名詞の一つと言っても過言ではない「バックサイドクルックドグラインド to ノーリーヒールフリップアウト」を決めて会場を沸かし、見事フルメイクでランを終えると82.15ptをマークした。西矢は準決勝のベストトリックにてラストトリックを決めていなければ決勝には進めていないような調子だったため、決勝ではうまくリカバリーした様子が見受けられた。 そんな西矢の得点を超えて見せたのは昨年の世界チャンピオンであるブラジルのライッサ・レアウ。西矢と同じ「バックサイドスミスグラインド」を中央のハバセクションでメイクし、ランをスタートさせると「キックフリップフロントサイドボードスライド」や、女子では唯一彼女しか見せなかった「トレフリップ」など高難度トリックを決める。準決勝で本調子ではなさそうだった彼女が決勝では流石の修正力を見せた。大会全体を通して調子を上げていく様子は、世界最高峰の舞台で結果を残してきた彼女だからこそ為せることだと感じさせられたランだった。