生成AIブームから考える「人間らしさ」とは【SENSORS】
チャットで文章作成など様々な指示ができる「ChatGPT」や指示通りに画像を作る「Stable Diffusion」や「Midjourney」などの生成AI(ジェネレーティブAI)についての話題は、毎日のようにニュースで報道されるほど注目されている。 人間が生み出したコンテンツやモノの特徴を学び、人間に求められることを予測して文章や画像を作り出す生成AIは、人間を超える存在というよりは、人間により近づいているとも言える。 では、生成AI時代における人間らしさ・人間性とは何なのか。生成AIの最前線に立つ4人が語った。
■制御不能なことをしでかすことが人間性
Aww Inc.のジューストー沙羅さんがプロデュースするバーチャルヒューマン「imma」は生成AIも活用して生み出された、人間そっくりのCGモデルだ。ピンク色のボブヘアが特徴のファッションアイコンとしてフォロワー数アジアNo.1を誇るインフルエンサーである。 immaをリアルな人間だと勘違いするフォロワーも多いが、immaの「人間らしさ」を形成しているのはエゴだという。生成AIの特徴は質問に対して的確に答えることだが、その期待を覆すことが人間らしさに繋がる。
「例えば『別に私はそれに答えたくない』とか。人間のエゴイズムみたいなものが人間らしさのポイントです。エゴって『この人と話したいな』とか『この人のツイートいつも見たいな』という感情につながると思うんですよ。ただの便利な相棒じゃなくて、人間のエゴをAIで作れることが当たり前になったら、すごくおもしろいですよね」 そもそも、AIとは違う「人間らしさ」とは一体何なのだろうか。人間性とは「機械にはできない特質」であり、「エゴに基づいて予定調和を崩すことである」と語るのは、株式会社 THE GUILD 代表でインタラクションデザイナーの深津貴之さんだ。 「機械と対比して、人間性というものがあるとすれば、機械にできない特質を人間性と呼ぶと思います。今の生成AIはいろんなデータの真ん中ぐらいにありそうなことを確率的に出すことが得意で、これがAI性だとすれば、逆側を人間性と置くのがいいと思います。ど真ん中ではないところ、端っこの部分を探索したり、ノイズを起こしたり、制御不能なことをしでかすことが人間性ではないでしょうか」