朝倉兄弟のRIZIN大晦日決戦“KO競演宣言”に根拠はあるのか?
堀口戦の向こうには海外挑戦を見据えている。 「(海外挑戦の気持ちは)かなり強くある。日本人で一番強いのは堀口恭司選手。海外(UFCやベラトール)でも実績を残している。そこに勝てば次は海外挑戦となる。意味があること。そういう思いで戦いたい。勝ち方や内容によっていろんな話が来ると思う」 目標は世界最高峰のUFCと米でそれに次ぐ評価と人気のある団体ベラトールの金網である。 「UFCのトップ選手とやってみたい。チャンピオンとか、ランキングに入っているジョゼ・アルド(7位)、コーディ・ガーブラント(4位)らのストライカーと戦えれば面白い。もちろんベラトールのチャンピオンとも」 海外挑戦に備え英語の勉強を続けているという。 堀口戦に負ければ計画はすべて白紙だ。だから負けられないのである。 「RIZIN.26」のメインカードは、この海―堀口戦。兄の未来は、アンダーカードで11月21日のRIZINフェザー級王座決定戦で斎藤裕に判定で敗れて以来の再起戦に挑む。 海は、その斎藤戦を見て、自分の敗戦以上に「悔しかった」という。 「(兄は)前回のダメだった点を修正している。強くなっている印象だ」 兄弟スパーの中で感じた兄の変化をこう証言した。 未来にとっても絶対に負けられない試合である。 「負けたものを取り返しにいく。圧倒的に勝って、この次の試合で斎藤戦をやりたい」 斎藤が鼻骨骨折を負ったため大晦日でのダイレクトリマッチは実現しなかったが、失った己のプライドを取り戻し、来春には再戦を実現するために重要な戦いとなる。 対戦相手のドミネーターとは過去に1、2度スパーリングをした経験もあるそうだが、「覚えていない。印象にない」とそっけない。「試合では結果を出している選手。力みがなくノーモーションの攻撃をやらせると強いし、それを出し切る試合をしている。絶妙なタイミングで膝も出してくる」とのリスペクトはあるが、敵はドミネーターではない。 未来節が炸裂した。 「相手は意識しない。今回は自分が強いと思う。KOですね。たぶん。倒れるんじゃないですか。今回の試合は攻め。相手のカウンターだけを気をつければより危険になる。早い決着ありじゃないですか。喧嘩? そういうことですね。パウンドも練習しているし強烈なパウンドで失神させるかもしれない」 変則ファイターのドミネーターは会見で「喧嘩したい」と挑発したが、喧嘩ファイトこそストリートが出発点の朝倉未来の原点である。 「試合に飢えている。KOに飢えている」 斎藤戦の敗戦から見つめ直したのは、保守的になり受けに回ったことだ。3ラウンドのスタミナを計算してカウンター狙いの消極的な戦い方となり、斎藤の鼻骨を骨折させるほどのダメージを与えながらも判定では敗れた。だが、わずか1か月の間隔で、再起戦を決めた未来は“狂気の未来”を大晦日のリングに蘇らせるつもりでいる。 「衝撃的な試合をするんで。お楽しみに」 朝倉未来は、そう不敵に笑った。 最強兄弟には、それぞれにKO競演をしなければならない理由があるのだ。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)