「花粉症にならないの?」「花言葉には詳しい?」 町の「花屋さん」に訊いた「頭を抱えてしまう注文」とは
花屋あるある
こうして、身近にありながらその実態があまり知られていない花屋。彼らにも本連載では各業種に聞いている、現場特有の「あるある」を今回も聞いてみた。 「仕事をしながら季節を感じられる」 「花屋さんって優しい人と思われがち」 「花の色を引き立たせるために、黒い服を着たり制服が黒の所が多い」 「花言葉や色にこだわりが強いお客様が来るとかなり困ります……笑」 また、注文し慣れていない客が多いがゆえに起こる「困った注文」についても聞いてみると、こんな回答が。 「お花の金額設定が分からない方。相場が3万~4万ぐらいするブライダルブーケを送料・消費税込みの3000円で注文される」 「『指定した特殊な花を1、2本』という注文。用意できないことはないですが、これを仕入れるのにロットが100本。残りに注文がなければ大赤字になります」 「花にはそれぞれ旬や手に入る時期が決まっているので、要望された花が必ずしも手に入らないことも。あと、『男性にあげるので青い花束を』と注文される方。そもそも青い花って自然界にすごく少ないので困りました」 「“100本の赤いバラの花束を“という注文。100本の赤いバラを在庫で持っている花屋は少ないので、事前に予約してもらわないと対応できないことが多いですね」 花屋の店先に並んだ色んな花。そんな華やかな花屋の店先の裏側では、こうした店員の知られざる苦労があるのだ。 冒頭でも述べた通り、日本では普段花を楽しむ習慣があまりないが、海外では普通に花束や鉢植えをもって歩いている人の姿を目撃する。 こうして多くのはたらく現場を取材していると、今の日本には花を愛でる余裕が心的にも金銭的にもないのかもしれないなとも思えてくる。
橋本愛喜(はしもと・あいき) フリーライター。元工場経営者、日本語教師。大型自動車一種免許を取得後、トラックで200社以上のモノづくりの現場を訪問。ブルーカラーの労働問題、災害対策、文化差異、ジェンダー、差別などに関する社会問題を中心に執筆中。各メディア出演や全国での講演活動も行う。著書に『トラックドライバーにも言わせて』(新潮新書)、『やさぐれトラックドライバーの一本道迷路 現場知らずのルールに振り回され今日も荷物を運びます』(KADOKAWA) デイリー新潮編集部
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