U23はもう若くはない!? 世界がいまジュニアに注目する理由とは?
なぜ若手がより台頭してきたのか?
はっきり言って私自身もなぜ若手選手が台頭してきたのか? がわからないため、手っ取り早くツール・ド・ラヴニール会場にいたU23の各国監督に世間話程度ですが聞き取り調査をしてみました。 すると、見えてきたのが……「近年の若手選手による、ベテラン・年長選手へのリスペクトが減った」という背景もある様です。 例えば、1980年代の絶対王者でありツール・ド・フランス5勝のベルナール・イノーが「今日は休息ステージとする! 」と集団に“お触れ”を出すと、誰もアタックすることがなくなったという話がよくオールドファンの間では語り草になっています。 1990年代にはスペインのミゲール・インドゥラインという同じくツール5勝を果たした王者がいましたが、彼は非常に無口で自分から集団にオーダーを出す事はなかったものの、彼へのリスペクトを欠いた行動する選手は、インドゥライン派の選手らから総スカンを喰らった事もありました。 言わずもがな、1999~2005年にツールで“ひとまず”総合優勝し、のちにドーピングで追放されるダークヒーロー? のランス・アームストロング(米)なども、さながらマフィアのボスのごとく、各選手の集団内での動きやマナーを監視し、彼が気に食わない選手がいると徹底的に追い詰める怖い存在でした。 それが2010年前後、特にランス・アームストロングが2012年にドーピングを告白した時期を境に、一気に彼の様な“パワハラ系ドン”の存在が否定される風潮が生まれます。 すでにランス・アームストロングが(最初に)引退した2005年あたりから「ベテラン・年上だからって遠慮する必要はない! 」という若手選手の態度は徐々に顕在化していましたが、一応はオールドファン? の私にとって一番大きく時代が変わった! と印象付けられたのは2010年前後(年数は忘れちゃいましたが……)のツール・ド・フランス。 複数回の個人TT世界王者でもあり、超一流選手であったスイスのファビアン・カンチェッラーラがマイヨジョーヌを着るツール・ド・フランス序盤の平坦ステージで、不毛なアタック合戦が1時間以上もやまない場面でのこと。 さすがにこのままでは全選手が疲れ切っちゃうし、落車も起こりやすい! と思ったレースリーダーのカンチェッラーラが集団の先頭に躍り出て、両手は大きく広げて「みんな落ち着け! 」と不毛なアタックを制止。 この行動、1970~2005年ぐらいだったら、全選手が「ハイっ! パイセン! もう我々若輩者は落ち着いて走るようにします! 」となったはずです。しかしこのときは誰もカンチェッラーラの言うことを聞かず、遠慮なくアタック合戦を継続。まぁカンチェラーラ自身がもしかしたら集団から特にリスペクトを得ていなかったのかもしれませんが、マイヨジョーヌ着用者+世界王者の言うことを誰も聞かないという衝撃。 変な例えですが、堺 正章さんにAKB48が「黙ってろジジイ! 」と言っちゃうような、はたまた高倉 健さんの楽屋に田中邦衛が挨拶しに行かないみたいな、とんでもない新時代になったと感じたものです。