U23はもう若くはない!? 世界がいまジュニアに注目する理由とは?
確かにジュニアの時代が来ています……
そのツッコミを踏まえた上で「ツール・ド・ラヴニール2023」の会場を見渡してみると、結構な国がナショナルチームでありながらも、それぞれのつながりが強いUCIワールドチーム&プロチームの大型バスが帯同。U23でありながらすでにUCIワールドチーム傘下の育成UCIコンチネンタルチーム(第3カテゴリー)に所属し、エリートプロのような待遇を受けている選手がざっとみて30名ほどはいるようです。各ナショナルチームに帯同する監督・コーチも、UCIワールドチームから派遣されている人物がちらほらとおります。 ツール・ド・フランス2019で総合優勝を果たす事になるエガン・ベルナルが出場していたツール・ド・ラヴニール2017では、「UCIワールド+プロチームが公式に育成チームを運営する」システム導入以前という事もあり、UCIワールド&プロチームと直接つながっていた選手数は約5名。そのときはツール・ド・ラヴニールが若手選手発掘・契約獲得の最前線であったことは間違いないのですが、すでにその最前線はジュニア世代に移っているようです。
「ジュニアの方が安いし扱いが楽」
名前は伏せますが、ツール・ド・ラヴニール会場で会ったツール・ド・フランス出場チームの関係者に、今、若手発掘市場では実際に何が起こっているのか? を聞いてみました。 それらコメントを列挙しますと……。 「U23も良いけど、2019年ぐらいからすでに大手チームはジュニアの有望選手にアプローチを開始してなるべく早く傘下の育成チームに確保。その方が人件費は安いし、才能が開花しなくても若いうちに切りやすい」。 「選手はエリート選手になる程わがままさが増して扱いにくくなるため、ジュニア選手の方がはるかに扱いやすいし、自チームの文化を“インストール”しやすい」。 「若い選手は言うことを聞く。業界でも少々有名なワガママ選手であるベ◯ギーのイヴェ◯プール選手だって前は管理が楽だった(笑)」。 などなどが代表的な意見。 さらに選手のキャリアピークが確実に若くなっている点も、若手が重宝される理由の様子。 例えば、選手はUCIレースの成績によって選手の通信簿とも言えるUCIポイントを獲得できますが、1990年代のデータでは28歳が最もポイントを稼ぐ年齢だったのに対し、2023年現在は26&27歳の選手が最もUCIポイントを所持しています。