経営破綻は乗っ取りか 「テレビデオ」の会社が脱毛サロン買収 わずか3年で現金流出300億 背景に不可解な”カネと人事”
一時は「世界のFUNAI」と呼ばれながら、先月突然経営破綻した「船井電機」。取材を進めると、破産に至った経緯を巡り、不可解な点が浮き彫りになりました。
先月24日、船井電機の食堂に集められた全従業員約550人に解雇が言い渡されました。社内の電気はほとんど消え、人の姿もまばらになっていました。 (元従業員・入社21年目)「経営陣からの説明はあまりなかった。真実を知りたいのはあるけどこうなってしまったら仕方ない」 (元従業員・入社3年目)「この結末はいつか来ると思っていました。経営が危ないなっていうのは薄々みんな感じていた」 元従業員らも不審に感じていた経営破綻でした。
大阪府大東市に本社を置く電機メーカーの「船井電機」は1961年創業で、音響・映像機器などの製造・販売を手がけ、80年代にはテレビとビデオデッキが一体化した「テレビデオ」が大ヒットしました。 その後は液晶テレビ事業などを展開し、海外にもシェアを拡大すると「世界のFUNAI」と呼ばれるまでに成長しました。 ただ、近年は中国メーカーとの価格競争が激化し経営は徐々に悪化していました。 船井電機は立て直しを図るため2021年、出版会社に買収されその傘下に入りました。 新たな社長を迎え、会社の再建を託すことにしましたが、このときすでに会社の経営はさらに傾き始めていました。
不可解な資金の動きと人事 東京商工リサーチ担当者の見解は
企業の経営状況などを調査する東京商工リサーチで船井電機を担当する新田善彦さんによると、不可解な資金の流出が多数あったといいます。 まず、出版会社による買収の経緯の不自然さを指摘します。 (新田さん)「会社を買うときは、買う側が資金を調達してその資金をもって買うのが筋なんですけども、今回船井電気は、自社の資産である定期預金を担保に銀行からお金を借り、その借りたお金で『うちの会社を買ってください』という形でM&A(買収)が行われました。これにより数百億円が船井電機から流出しました」