日清食品が大坂なおみの肌を白く描いたアニメ広告問題が世界中に波紋!
英国のガーディアン紙は「大坂のスポンサー(日清食品)が、広告でテニススターを『白く描き』謝罪」との見出しを取って、この問題を報じた。 同紙は、「日本で生まれた大坂は3歳で米国に移りフロリダで育った。(日本は)人種的に単一(の国)だとしばしば不正確に見られ、ミックスド・レースの人々を日常的に『ハーフ』と呼ぶ彼女の母国(の日本)社会があった。しかし、(大坂の)全米オープンの優勝で、日本人のアイデンティティをもっと包括的に受け入れるようになるとの期待が高まっていた。その中での今回の出来事だった」と、背景を含めて今回の問題発生を悲観した。 また今回のケースは、黒人女性テニス選手に対しての人種差別論争を引き起こした初のケースではないことも紹介された。昨年9月に、オーストラリアのニューズコーポレーション社は、メルボルンの新聞に、セリーナ・ウィリアムズを描いた人種、性差別的な風刺画を掲載して広く非難を浴びた。このルパート・マードック氏のヘラルドサン紙のタブロイド版に掲載された風刺画は、ウィリアムズが全米オープン決勝で大坂に敗れた後にコート上で癇癪を起こしたものを表現したもので批判を受けたという。 その中で「『白人女性』として登場した大坂の描写もまた非難された」と続けた。 英国のデイリーメール紙は、「大坂は(昨年)人種差別の風刺漫画で『白く描かれた』。そして、今度は、彼女のスポンサーの日本のヌードル会社(日清食品)によって『白塗り』される事態に巻き込まれた。(日清食品は)セリーナ・ウィリアムズに並ぶテニススターの大坂に謝罪した」と伝えた。 同記事も、昨年9月の全米オープンの決勝で大坂が、セリーナ・ウィリアムズを倒した後に掲載された風刺画でも、明るい肌と金髪で描かれて人種差別的な扱いを受けたことを紹介して「わずか数か月後にまた出てきた」として、2つのイラストを掲載した。 「オーストラリア人アーティストのマーク・ナイト氏による風刺画は、掲載後に、セリーナ、同様に大坂を『人種差別的』に描いたとして世界中から怒りを買った。大坂自身のスポンサーが関わった今回の問題は、ファンたちが日清食品の広告でのテニスのエース(大坂)の描かれ方について指摘した今週になって大問題に発展した」と続けた。 英国のBBCも「大坂の(スポンサーである)ヌードル会社(日清食品)が『白く描いた』ことを謝罪」との見出しを取り、今回の騒動を報道。「本来ならば、この日の記事の見出しは、すべてオーストラリアのメルボルンのテニスコートでの大坂の勝利についてのものになるべきであったが、ハイチ系日本人のスポーツスター(の大坂)の、その勝利は、アニメに関する喧騒による報道によって脇へ追いやられた」と皮肉をこめて伝えた。 さらに「チェコのカロリナ・プリスコバとの準決勝のことだけを考えている 大坂は、この問題についてコメントしていない。だがこの喧騒は、再び日本の人種や差別問題をクローズアップした」と指摘。 「日本で生まれる50人に1人は、大阪で生まれて大半を米国で育った大坂のようにミックスド・レースだ。短距離走選手のケンブリッジ飛鳥、野球選手のダルビッシュ有、柔道のスター選手ベイカー茉秋に加え、21歳の大坂のようなスター選手たちは、依然として『ハーフ』という偏見に直面している」と、ときには、偏見のターゲットとなる他のアスリートの例も出しながら問題提起をした。 決勝進出と、世界ランキング1位のかかった重要な試合を前に大坂は、とんだ“コート外”での騒動に巻き込まれることになった。しかも、それがプロとしての活動を支えてくれている所属スポンサーが起こした問題だけに、なおさら、その心境は複雑だろう。 もちろん最終的に広告に対してのGOサインを出した日清食品に最大の責任があり、人種差別表現に対する意識や、企業のガバナンス、リテラシーが問われる問題だが、広告制作側(請負った広告代理店)に、より大きな落ち度があったことは間違いない。彼らがクライアントに提案する前に、事前に広告基準に照らして、本当に問題がないのかというチェックを何重にもしておくべき事象だっただろう。日清食品は、公式な謝罪を世界的にアナウンスしなければ、大坂がプレーに集中できないのかもしれない。