患者激増!マイコプラズマ肺炎から身を守れ!
「マイコプラズマを正確に検査しようとすると、時間もお金もかかります。医療機関の先生方には、流行状況や症状を診断材料にしていただきたいと思います」 今は、インフルエンザが流行の時期を迎え、新型コロナウイルス感染症の患者も依然として増減を繰り返している。インフルやコロナは簡易検査キットが普及しているが、マイコプラズマ肺炎も咳や発熱といった似たような症状なので見極めるのはたいへんだ。そのコツは、インフルやコロナウイルスとマイコプラズマの感染・増殖する場所の違いにあった。 「インフルやコロナは上気道といって、鼻や喉の粘膜で感染して増殖します。鼻水や喉の痛みを伴うのが一般的です。一方、マイコプラズマは気管支の粘膜で感染して増殖し、それを排除する免疫反応で炎症が起こります。そのため、カラ咳が続くのが特徴です」 マイコプラズマのカラ咳は、抗菌薬を服用して発熱が治まった後も続くほどしつこいことがあるという。ただし、喘息(ぜんそく)でも免疫反応によりカラ咳が起こる。喘息の人がマイコプラズマ肺炎になると、症状がひどくなりやすいのでご用心。いずれにしても症状が続くときには、早めの受診を心がけよう。 ◇手洗いとマスクが有効 では、予防はどうすればよいのか。 「日本におけるマイコプラズマ肺炎は4年に1回、オリンピックの年に流行しています。2020年はコロナ自粛とマスク・手洗いといった感染予防の徹底で、マイコプラズマ肺炎も流行しませんでした。今年は(前回流行した)16年から8年ぶりなので大流行していますが、20年のように、感染予防を心がければマイコプラズマ肺炎を防ぐことが可能といえます」 こまめな手洗い、咳の症状があるときにはマスクの着用を心がけるなど、基本的な感染症予防がマイコプラズマにも有効なのだ。 「マイコプラズマの潜伏期間は2週間と長いので、お子さんがマイコプラズマ肺炎を発症し、その2週間後にご両親が発症することがあります。咳の症状があるときにはマスクを着用し、他人に感染を広げないように注意していただきたいと思います」と大石教授はアドバイスする。
(医療ジャーナリスト 安達純子) あだち・じゅんこ 東京都生まれ。医学ジャーナリスト協会会員。大手企業社員から転身しフリーランスの記者へ。人体の仕組みや病気はいまだに解明されていないことが多いと、最先端研究や医療などについて取材・執筆活動を行っている サンデー毎日12月8日号(11月26日発売)には、他にも「アベノミクス、安保法制、歴史認識… 徹底検証 安倍晋三とその時代」「朗報 新説 高齢になるほど幸せになる!」「客船クルーズ 空前のブーム到来!?」などの記事も掲載しています。