患者激増!マイコプラズマ肺炎から身を守れ!
◇肺炎予防に早めの治療 マイコプラズマ肺炎は、自分の免疫が働きすぎて肺炎を引き起こすゆえに、合併症にも注意が必要になる。 「ごくまれに、末梢(まっしょう)神経障害のギラン・バレー症候群のような合併症を引き起こします。マイコプラズマの抗原(抗体の攻撃目印)が、神経のたんぱく質の一部と類似しているため、マイコプラズマ肺炎の免疫活性で神経に悪影響を及ぼすことがあるのです」 ギラン・バレー症候群以外にも、マイコプラズマ肺炎の合併症は、脳炎、肝炎、膵(すい)炎、心筋炎、関節炎などいろいろだ。しかも、免疫がしっかりと働く健康な人がマイコプラズマ肺炎になり、合併症で苦しむことになるから注意が必要である。一方、免疫の働きが弱い4歳以下の乳幼児や、65歳以上の高齢者は発症しにくいのも特徴だ。 「元気なお子さんや大人は、〝風邪を引いてもすぐに治る〟と思いがちです。放置して1週間後に調子が悪くて医療機関を受診し、肺炎と診断されて入院するパターンが多い。マイコプラズマは、早い段階におけるマクロライド系の抗菌薬による治療が効果的です。肺炎予防にもつながりますので、早めに診断を受け治療していただきたいと思います」 抗菌薬が効果的といっても安心は禁物だ。大石教授らの研究では、現在流行中のマイコプラズマ(タイプ1)の約6割がマクロライド系薬の耐性菌になっているという。つまり、マクロライド系薬を服用しても死滅しにくいマイコプラズマに変異しているのだ。 「マクロライド系薬以外の抗菌薬の耐性菌は今のところ国内には存在していません。マクロライド系薬を服用して3日経(た)っても症状が良くならないときには、テトラサイクリン系薬やニューキノロン系薬が効きます」 耐性菌は、別の用途での薬の不適切な使用で増える可能性がある。大石教授は、その研究も行っている。 ◇長引くカラ咳がサイン マイコプラズマ肺炎にも、咽頭の細菌の有無を調べる検査キットがある。しかし、マイコプラズマは気管支で増殖するため、症状があっても必ずしも検査キットで陽性になるとは限らないという。