英国で日本未発売のホンダ「S800」がたった250万円弱で落札! しかし日本でもっとお高い個体を購入したほうが安心である理由とは?
英国向け仕様のホンダ S800がオークションに登場
2010年代以降、日本製クラシックカーは国際マーケットにおいても、その人気を確たるものとしているようです。今回は、英国の「アイコニック・オークショネアーズ」社が2024年12月に英国ウォリックにて開催したオークション「The Classic Sale at the Warwickshire Event Centre」に出品されたホンダ「S800マーク2 クーペ」をピックアップ。日本ではほぼ知られていない、S800マーク2のあらましと、注目のオークション結果についてお伝えします。 【画像】日本向けには存在しない! ホンダ「S800マーク2 クーペ」を見る(全27枚)
実用本位の「ビジネスマン特急」を自認したハッチバッククーペ
財務担当者ではなく、エンジニアが意思決定を行っていた時代に現れた、驚異的テクノロジーの結晶。ホンダ「S800」は、1963年発表の「S500」に端を発する一連のホンダ「エス」シリーズの最終形である。 最大でも791cc・70psという、小さな排気量をまるで感じさせないパワーと素晴らしい高性能を発揮するいっぽうで、まだまだ劣悪だった当時の道路事情のもとでも充分な耐久性と実用性を有していたことも、エスの大きな美点といわねばなるまい。 とくに「S600」時代の1964年12月から追加された、リアに実用的なハッチゲートとトランクを持つクーペは「ビジネスマンズ・エキスプレス」を自ら標榜していた。 ところが、現行の軽自動車規格よりもはるかに小さな車体に組み込まれた高度なテクノロジーは、当時の技術レベルでは依然として未消化の部分もあり、結果として度重なる改良が必要になってしまうのだ。 まずは今から約60年前、1964年1月からデリバリーが開始されたS500だが、同じ1964年1月には早くも進化拡大版のS600がデビューしていた。そののちもS500はしばらくの間併売とされたが、同年9月をもって生産を終える。 また、S500に取って代わったS600だが、このモデルも寿命は決して長くなかった。1965年10月30日開幕の東京モーターショーにて、次の後継モデルとなる発展型S800がデビューしたことに伴って、翌年にはフェードアウトすることになるのだ。