2015年日本政治の注目ポイントは? 早稲田塾講師・坂東太郎のよくわかる時事用語
「戦後70年」「中韓関係」
そして、2015年は戦後70年。日本と直接戦った中国と、植民地支配下にあった韓国との関係改善はなされるのでしょうか。 おそらく日中韓3国ともにトップは変わらないでしょう。したがって今のような冷たい付き合いが基本的に続きそうです。変化があるとしたら北朝鮮有事。日本の、というよりアメリカの戦略は日米韓の軍事同盟で対処するつもりですから仲間のはずの日韓がいがみ合っていたら両国とも叱られそうです。同時に中国も立ち位置を迫られます。常識では北朝鮮の庇護者であるも近年の核ミサイル問題で国連安保理の制裁決議に賛成するなど決して一枚岩とはいえません。北朝鮮崩壊に至るという中国にとって最悪のシナリオだけは避けるプランで外交交渉を仕掛けてくる可能性が大きいでしょう。 尖閣諸島をめぐる問題は、そもそも野田佳彦政権が中国を刺激しないために行った「国有化」が正反対のニュアンスで伝わって緊張した側面が大きく、東南アジア数国と抱える南シナ海上の島の領有問題も相まって、よほどの偶発的悪条件が重ならない限り「尖閣沖海戦」など起きないと外交・防衛筋の多くが考えているようです。 さらに従軍慰安婦問題や靖国神社参拝問題など扱いを間違えると国際世論から猛反発を受けるテーマも事欠かず。自民党政権が手痛い反撃を食うのは決まって数に任せた強引な手法と「政治とカネ」が関わる「おごり高ぶり」にありました。安倍政権はより慎重に諸問題を扱い、無理な国会運営をせず、数にものをいわせるのではなく賛否がわかれるテーマでも国民にていねいな説明責任を果たすといった態度が求められましょう。
15年9月には自民党総裁(トップ)選挙があります。今のところ「安倍氏で決まり」の雰囲気ですが、上記に述べた政策課題の扱いに失敗して支持率が急落するとよもやの逆転劇があるかもしれません。
--------------------------------------------------- ■坂東太郎(ばんどう・たろう) 毎日新聞記者などを経て現在、早稲田塾論文科講師、日本ニュース時事能力検定協会監事、十文字学園女子大学非常勤講師を務める。著書に『マスコミの秘密』『時事問題の裏技』『ニュースの歴史学』など。【早稲田塾公式サイト】