2015年日本政治の注目ポイントは? 早稲田塾講師・坂東太郎のよくわかる時事用語
突然の解散総選挙で自公両党が大勝し、第3次安倍内閣が誕生して幕を閉じた2014年の日本政治。「戦後70年」を迎える2015年は、4月には統一地方選という政治決戦を控え、安倍政権の宿願である安全保障法制の議論が始まります。アベノミクスによる景気回復は続くのか、原発再稼働やTPP交渉などの政治課題もあります。2015年の日本政治を読み解くポイントを見てみましょう。 【図表】課題が目白押しの第三次安倍政権の政治日程
「地方創生予算」「民主代表選」
年明けに召集される通常国会でまず議論になるのは2014年度補正予算案と15年度予算案(本予算)です。14年末に総選挙が行われたため本予算は年末の閣議決定が間に合わず、どのような姿になるのかハッキリしません。ただ補正予算も含めて15年最大の政治ショーである統一地方選挙を意識した「地方創生」メニューが並ぶでしょう。本予算の歳出(支出)は過去最大と見込まれ、GDP比で先進国最悪の借金を抱えるこの国の未来をどうするかという議論は本来なされなければなりません。しかし景気の良さが実感できない地方を手助けするという理由で盛られた予算に野党も反対しにくく、論争が盛り上がるかというと疑問です。 1月には野党第一党の民主党の代表選挙もあります。現時点で岡田克也元副総理と細野豪志元環境大臣、長妻昭・元厚生労働大臣が出馬を表明しています。この選挙は党員・サポーター票が国会議員票を上回る初のケースで党側はこの機をとらえて国民にアピールするのに躍起ですが、岡田氏は過去代表経験があり、細野氏ともに民主党政権で「メリーゴーラウンド」と呼ばれ、三度の首相交代や改造で肩書きを変えては何度も登場してきた方なので清新さに欠けます。二大政党制で野に追われた旧政権党が復活したのはアメリカのビル・クリントン氏やバラク・オバマ氏、イギリスのブレア氏のように40代のアカのついていない候補を担いでイメージを一新したのも大きい。「この人は誰?」という若手が出てくれば注目度は大いに上がるでしょう。その兆しがないのが残念です。 補正予算も本予算も多少の遅れがあっても衆参両院で過半数を制する与党の力で成立は確実です。野党がやるとしたら国務大臣の「政治とカネ」の追及でしょう。第三次安倍内閣は第二次改造内閣とほぼ同一で、なかには改造後から疑惑を指摘されている大臣もいます。政局優先と非難されても1人でもクビを取れるか……「多弱」な野党にできるのは残念ながらそれくらいです。