「早稲田vs帝京」勝つのはどっち 勝負を分ける“カギ”は…ラグビー大学選手権決勝の見どころ
早稲田は懐深い組織的な防御で、京産に単発の前進は許しても相手のテンポでの連続攻撃は許さず、走力と突破力のある京産のトンガ出身のフランカー、シオネ・ポルテレ(3年、目黒学院)にも持ち味を出させない圧力が光った。さらに前回大会では圧倒されたスクラムでも優位に立ち、試合の主導権を握り続けた。ハーフタイム後も早稲田のペースは続く。 10次を超える相手の連続攻撃をしのぐと、WTB田中がインターセプトでボールを奪取。昨年日本代表に選ばれてオールブラックスとのテストマッチにも出場したFB矢崎由高(2年、桐蔭学園)が自陣から蹴って相手陣の22メートルライン内のタッチに出す「50:22」の好キックで、自ボールのラインアウトの好機を得る。ここからの展開で池本がトライし、31-0とした。この後次々と選手を入れ替えた早稲田は25分から京産に3連続トライを許したが、それでも12点差と余裕の勝利だった。 一方の帝京は、準決勝第1試合で明治大学(関東対抗戦Aグループ3位)を34-26で突き放した。昨年11月の対抗戦での対戦では48-28で勝利。この時は開始6分の先制トライを皮切りに前半23分までに3連続トライで21-0と大差をつける展開だった。 準決勝での対戦でも、帝京は前半7分と16分の連続トライで14-0とし、前半序盤から試合の主導権を握った。こちらも、帝京の最初のトライにそのラグビーのレベルの高さが見て取れた。ラックからのパスが乱れて自陣22メートル内の深い位置まで戻ってボールを拾ったフッカー當眞蓮(4年、流通経大柏)がタックルを外して自陣10メートルまで一気に前進。さらに、タックルされた後の見事なダウンボールを拾ったフランカー森元一気(4年、尾道)は瞬時の判断で迷わずピック&ゴーを選択する。 ステップを切って相手防御を崩して明治陣22メートルまでゲイン。ここでタックルされた森元も確実なダウンボールで連続攻撃に繋げ、早い球出しで相手防御が崩れたところをSO本橋尭也(2年、京都成章)がゴールポスト下に走り込んだ。また、16分のトライは、FB小村真也(4年、ハミルトンボーイズ)が自ら蹴ったハイパントを追って競り、こぼれたボールを受けたWTB生田弦己(3年、御所実)が左コーナーまで40メートル以上を走り切った。相手の隙を見逃さず、好機を得ると一気にトライまで繋げる帝京の強さだった。ここまでは対抗戦での対戦時同様に一方的な試合になるかと思われたが、この日は明大が奮起。19分、32分に連続トライを返して12-14と2点差に追い上げて折り返した。