「早稲田vs帝京」勝つのはどっち 勝負を分ける“カギ”は…ラグビー大学選手権決勝の見どころ
しかし、帝京は後半早々に明治の希望を打ち砕いた。4分にカウンター攻撃からCTB上田倭士(2年、大阪桐蔭)がトライすると、その4分後にはキャプテンのフランカー青木恵斗(4年、桐蔭学園)の突進からロックのカイサ・ダウナカマカマ(2年、大分東明)がトライして再び点差を14に広げる。17分にロック本橋拓馬(4年、京都成章)がトライを加えて31-12とさらに差を広げて試合を決定づけた。明治は35分と43分にトライを返したが、及ばなかった。帝京は防御が堅く、接点で圧力をかけて、明治に早いテンポの球出しを許さなかった。明治にしてみれば毎回仕切り直して一から攻めているような状態だったろう。さらに、帝京はブレイクダウンで強さだけでなく相手ボールを再三奪う上手さも兼ね備え、点差以上に試合を支配していた。 早稲田と帝京の今シーズンの対戦は、8月の夏合宿での練習試合(38-14)からは早稲田が2連勝。対抗戦での早稲田の帝京戦勝利は4年ぶりだった。この時は田中が前半13、19、21分と3連続トライを挙げて前半半ばで19-0と大きくリードした。田中は後半にも2トライを加えて計5トライ。飛距離の長いキックに加えて前半40分と後半27分にはトライを奪うなど、田中と同じ1年生の服部の活躍も光り、チームとしても7トライを奪う圧勝だった。完成度の高いラグビーが持ち味のはずの帝京はラインアウトが乱れ、スクラムでも苦しんだ。 ただし、対抗戦の対戦から2カ月が経ち、両校ともに試合経験を積む中で長所を伸ばし、課題を修正してきている。今回の決勝では勝者が入れ替わる可能性も十分にあるだろう。決勝で勝敗の行方を左右するカギとなるのは、ブレイクダウンとスクラム。ありきたりではあるが、攻撃の起点での攻防が重要となるのは大学日本一を決める決戦でも変わらない。 準決勝で早稲田はスクラムで優位に立ったことで試合を自らのペースで進めることができた。一方、帝京はスクラムで苦しんでもそれを吸収して相手に主導権は渡さなかった。決勝でもスクラムにこだわってくるであろう早稲田に対して、帝京がどう対抗するか。また、ボールが投入される前、さらには、組み合う前の足の置く位置、バインドの仕方などから始まる駆け引きを、レフェリーがどう見てどう裁くかによってもスクラムの優劣は左右される。大学日本一を決める大舞台だけに、真っ向正当な力と技の勝負を期待したい。