「悩みは2個3万円の付け乳首」更年期のホルモン治療開始で乳がんが判明した小川恵理子 右胸全摘出から再建まで
最近は治療法も進歩して副作用も軽減されているそうです。でも、手術で全部取れるなら、思いきって全摘して再建するのがいいんじゃないかと考えたんです。とはいえ、手術をしてリンパへの転移が見つかれば乳房の再建手術ができない可能性もあったため、手術するまではどうなるかわかりませんでした。 ── 手術のときの様子を教えていただけますか。 小川さん:手術は7時間におよびました。朝の9時ごろ、看護師さんが呼びに来てくれて点滴を打ったまま手術室に向かったんです。扉の中はテレビドラマで見るような手術台があり丸いライトがバーッと照らされていて、それを目にした瞬間、「本当にいまから手術するんだ」と急に現実味が湧いてきて。全身麻酔を受けるときも「もし目が覚めなかったらどうしよう…」という不安でいっぱいでした。でも、気がついたら手術は終わっていて、同時に強い痛みを感じたので、すぐに痛み止めをもらいました。
さいわいなことにリンパへの転移はなく、全摘と同時に乳房再建のための準備、シリコンを入れるために皮膚を徐々に伸ばしていく風船のような「エキスパンダー」という医療器具があるんですが、それを大胸筋の下に無事入れることができたとのことでした。 しかし、術後はやっぱり体がつらくて。特に大変だったのは、手術後の血液や体液を排出するためのドレーンという管を抜くとき。2本あるうち1本目はすんなり抜けたんですが、2本目が曲者で。体内で癒着していたみたいで、先生がグッと抜こうとしたら体内のエキスパンダーがズレて、思わず声を上げてしまったんです。そしたら先生が「大丈夫、すぐ戻しますからね」とまたグッと押し戻してくれて(笑)。今はこうして笑いながら話せますが、それはもう痛かったですね。10日ほどの入院を経て退院し、さらに2週間ほど自宅で療養してから仕事に復帰しました。
■義妹のひと言が再建手術をするきっかけに ── 今年5月に右胸の再建手術をされていますね。 小川さん:ええ。でもその決断には本当に悩みました。再建するということは、もう一度手術を受けることになりますから。母は「別にそのまま手術せんでもええやろ」と言ってくれて、私も最初はそう思っていたんです。 でも、義理の妹が10年前に同じく乳がんを経験していて、彼女に相談して考えが変わりました。彼女が教えてくれたのは全摘後のこと。「お風呂に入るたびに、左はあるのに右がつるんとしていて、いくら時が経ってもその傷跡を見ると気持ちが沈むのよ」と。そして、「私はシリコンを入れて再建して本当によかった」って。その言葉を聞いて「私もそうしてみようかな」って思ったんです。