「悩みは2個3万円の付け乳首」更年期のホルモン治療開始で乳がんが判明した小川恵理子 右胸全摘出から再建まで
それで、その日から女性ホルモンを補充する治療を始めることになったんです。飲み薬とパッチを貼る治療ですね。ただ、先生からは注意も受けました。女性ホルモンを補充すると乳がんのリスクが高まるそうなんです。 さらに私の場合、姉が10年前に乳がんを経験していること、私自身に出産や授乳の経験がないこと。これらも乳がんのリスクを高める要因になるため「ホルモン治療を始めるなら、早急に乳がんの検査をしましょう」と言われました。
── そこで乳がんの検査をされたのですね。 小川さん:ええ。お恥ずかしい話ですが、この歳になるまで乳がん検査を受けたことがなくて。運よく翌週には検査予約が取れたので、初めてマンモグラフィーとエコーを受けたんです。マンモグラフィーで自分の胸がぺったんこになるのを見て「ちょっとおもしろいな」と思ったのを覚えています。 ところが事態は一変。検査を受けたその日の夕方、レディースクリニックから電話がかかってきまして。「怪しい影が3つ写っているから、ホルモン補充のお薬はいますぐやめてください」と。これまで何となく「自分はがんとは無縁や」と思っていたため、その瞬間、頭が真っ白になって、慌ててお腹に貼っていたパッチを外しました。そして大きい病院を紹介してもらい詳しく検査をした結果、初期の乳がんだと確定しました。MRIとCTスキャンの検査では、幸いにも胸のリンパや全身への転移がないことがわかりました。
ちなみに、ずっと悩まされていた頭皮のかゆみはホルモン療法を始めてすぐピタっと止まったんです。どうやらホルモンバランスが要因だったようで、がんとは直接関係ありませんでした。いまになって考えると体からの「気づいてほしい」のサインだったのかもしれませんね。
■初めての手術「ドラマで見た光景と同じ」 ── そこからどのように治療方針が決まっていったのでしょうか。 小川さん:担当の先生方が症例検討会で私の検査結果をもとに治療方針を考えてくださって、全員一致で「全摘がいい」という結論になったんです。私の場合、乳首にまでがんが浸透していたんですね。部分切除という選択肢もあったのですが、その場合は放射線治療と抗がん剤治療が必要になります。姉が10年前に乳がんで部分切除をした際は、その治療がとてもつらかったと聞いていました。