能登半島地震でも大活躍! 空飛ぶ災害対応「航空レーザー測量」をご存じか
能登地震と道路寸断
2024年1月1日、石川県能登地方で震度6強の地震が発生した。震源の深さは16km、地震の規模を示すマグニチュードは7.6。広島大学の調査グループの解析によると、隆起によって拡大した土地の面積は約4.4平方キロメートルで、これは東京ドーム約94個分に相当する。 【画像】これが「航空レーザー測量」だ! この地震の特徴としてよく取り上げられるのは、 「道路の寸断」 である。能登地方の各地で亀裂、陥没、土砂崩れが発生し、奥能登では最大24地区で3345人が孤立した。この「陸の孤島」に取り残された人々を救助するため、自衛隊はヘリコプターによる救助を実施。1日から8日までに救助された人のうち、6割以上が航空機によるものだった。 今回の震災は、人命最優先の災害現場における救助の現場における航空機の重要性を改めて浮き彫りにした。一方、ヘリコプターや小型飛行機も被害状況の調査のために飛んだ。 災害情報資料によると、国土地理院は地震発生数時間後に災害対策本部を開き、翌2日には測量機による空撮を行った。大規模な火災が発生したため、5日と12日に写真から読み取った焼失範囲をウェブサイトで公表した。 航空写真はこのような開けた土地の観察には適しているが、視界を遮るものがあると、その下に何があるのかが写真からはわからない。一方、航空機を使って上空から木々の下を走る道路や構造物の見え方を測定する方法がある。
国土地理院が行った航空レーザー測量
まず、画像を見てもらいたい。3枚の画像の左から、航空写真、地形図、判読結果である。写真では読み取りにくい斜面崩壊の様子が、地形図では直感的に読み取れることがおわかりいただけるだろう。 国土地理院は、国際航業(東京都新宿区)の協力のもと、重要インフラである国道249号線と輪島港・飯田港の航空レーザー測量を実施した。測定は1月11日、13日、17日に航空機に搭載されたレーザースキャナーで行われた。 画像は、珠洲市若山町中田付近の斜面を解析した画像である。航空写真では、地表の下に何があるのかわからないし、斜面が北向きであったり、影になっていたりすると非常にわかりにくい。一方、地形図は影の影響を受けず、データから樹木や建物が取り除かれているため、地上の様子を直接把握することができる。 また、過去のデータと比較することで、地形の変動の度合いを具体的に解析することができる。国際航業は、国土地理院が提供する2022年までの計測データと震災後のデータを比較した分析結果も発表している。 それによると、能登地域西部で西方への水平変位が確認され、能登半島北東部と西部で隆起が大きく、斜面変動の最大変異量は約8mだった。また、能登地域北東部では西向きの水平変位が、北部では大きな隆起が観測され、最大変異量は約5mであった。 このように、航空レーザー測量は、上空から地面の変動を数値的に確認することができる。前述したように、木々などの植生が地表を覆っている場所や、土砂の流出が目視で読み取りにくい場所でも解析が可能である。いったい、どのような仕組みなのだろうか。