【悪質でなければ公式も容認】ネット上の「ネタバレ・考察」との付き合い方、ファンの間で異なるスタンス 「鑑賞前はシャットアウト」か「事前チェックは欠かせない」か
時間とお金を無駄にしないために事前にチェック
作品を鑑賞する際は、事前にネタバレ情報を入れているという人もいる。神奈川県の大学院生・Bさん(20代男性)はこう話す。 「たとえばお金を払って映画を観に行くときなどは、ネット上の感想や考察記事をチェックして、その内容を予習することが多いです。時間とお金を使ってコンテンツを楽しむんだから、絶対に失敗したくないんです。ネタバレをチェックして『個人的に微妙だな』と思ったら、劇場には行かず、サブスクの配信を待つこともあります。 あと、せっかくお金と時間をかけて作品を観るのであれば、できる限りすべてを理解したいという思いもあります。映画を観た後、それなりに面白かったとしても『あの部分の意味がわからなかった』ということがあると、なんだか損をした気分になってしまう。だからといって、わからなかった部分を補完するために『もう1回観たい』となるかと言われれば、ほとんどがそうはならない。時間とお金を無駄にしないためには、ネタバレも必要だと思います」 作品を深く楽しむというだけでなく、タイパやコスパを高めるという意味でも、考察サイト・考察動画は便利なツールとなっているようだ。
発信者の思い込みや願望が反映された考察も多い
作品鑑賞後にネット上の考察を楽しむ人もいれば、鑑賞前に活用する人もいる一方で、そもそも考察はあまり好きではないという声もある。漫画、アニメ、映画など、あらゆる映像コンテンツを楽しんでいるという都内の自営業・Cさん(40代男性)はこう話す。 「作品の考察って、その発信者の考えによって結構変わってくるもの。その人の“思い込み”であったり、“願望”であったりが色濃く反映されていることも多々あって、そこに違和感を抱くことも多いです。 考察動画を見ることで、自分の解釈が間違っていたかのような気分になることもあって、そうなると、後味が悪い。ネタバレをすること自体は特に嫌でもないし、“正しい情報”が発信されるのは、いいと思います。 でも、1人のファンの解釈があたかも正解であるかのように発信されて広まっていくのは、あまり気持ちがよくないというか。好きな作品の解釈について、『○○はそうじゃない!△△という解釈は間違っている!』なんて激しい議論になるのもちょっと違うと思うし、そういう気分にもなりたくない。だから、考察系の記事や動画はできるだけ触れないようにしています」 さまざまな意見があるが、ネット上に広がる、一定程度のネタバレありの考察記事・考察動画が、作品の魅力を広げる役割を担っている側面はあるだろう。ファンが考察を楽しむためにも、著作権を侵害する違法なネタバレサイトの根絶は重要な課題となっていきそうだ。(了)