日本でもスポーツベッティングを解禁すべき? 西岡剛さん「ミスをしたとき、僕たちの生活はどう守られるのか」
DAZNによる新番組『UNSAID ~スポーツ界の表と裏~』の配信が12月16日から始まった。スポーツ界の輝かしい一面の裏に存在する課題や語りにくい問題、すなわち“UNSAID”だった部分にも焦点を当て、スポーツの未来をより良くするために議論を繰り広げるコンテンツだ。 【動画】鄭大世さんが熱弁「勝利至上主義で良い。それがトップアスリートの宿命」
元メジャーリーガーの西岡剛さん、Jリーグや北朝鮮代表で活躍した鄭大世さん、アーティスティックスイミングで北京五輪に出場した青木愛さん、バレーボールでロンドン五輪銅メダリストの迫田さおりさんと、第一線で活躍してきたアスリートたちが出演。さらにスポーツ法に詳しい弁護士の松本泰介さんがプロフェッショナルの視点から議論に深みを与える。 第1回でテーマとなったのがスポーツベッティングだ。2024年は、大谷翔平の元通訳の一件から改めてスポーツベッティングへの注目が集まった年でもあった。世界的に拡大しているスポーツベッティングについて、日本でも導入すべきだろうか。 西岡さんは「(導入を)したらしたでおもしろいと思う」としつつ懸念点も表明。過去に野球界で起きた八百長問題“黒い霧事件”にも触れながら、「公営ギャンブルのように隔離されて、携帯電話も持てないということを野球選手ができるわけがない」と語った。加えて、「例えば僕のミスで負けて、誰かが全財産を失ったとなったときに、僕たちの私生活はどう守られるのか」と問題点を挙げた。 一方で、資金面から賛成できる部分あるとした西岡さん。「特に独立リーグは導入したほうがいい」と持論を明かし、「スポンサーが集まらなければ選手の給料は10万円以下の場合もあり、オフ期間にアルバイトをしている。分配される仕組みができれば、導入により選手の給料は上げられるし、もしかしたらNPBを超える可能性も生まれるかもしれない」とメリットを語った。 鄭大世さんは賛成の立場。ユニフォームへのロゴ掲出など解禁が進むイングランド・プレミアリーグとJリーグを比較し、「(売上規模は)プレミアリーグのクラブが千億、Jリーグはせいぜい70億円。追いつくためには資金力が絶対に必要になるし、規制緩和がポイントになる」とし、リスクを管理しながら進めていくべきだとした。 韓国でのプレー経験も持つ鄭大世さんは、八百長問題へのリスク低減についてKリーグの対応が参考になると語る。「対応策として、たくさんミーティングもあったし、相談窓口も多く設けられていた。危険性について定期的に釘を刺すことで選手の意識を変えることができる」。世界に追いつくためにも必要な施策だと語った。 一方、プロ化していない競技出身の元アスリートは否定的な意見を語った。青木さんは選手自身が賭けの対象となるのに抵抗感があるとし、「西岡さんの言うように、(ミスをしたときに)生活を賭けてやっている人が刺してきたらどうしようと思う」とアスリートの安全性を不安視。「やりたい人には公営ギャンブルがある。資金の獲得が重要なのはわかるが、それを理由に解禁するのはどうかと思う」と語った。 元アスリートたちの意見を踏まえ、松本さんは「導入の議論は盛んに行われている。資金の獲得はプロのみならずアマチュアでも喫緊の課題となっており、一つの手段では言えると思う」とコメント。「アメリカでも州によっては大学スポーツへのベッティングを規制している。合法、違法の白黒ではなく、グラデーションがあり、いろいろなやり方が議論されていくのだろう」と今後を展望した。 『UNSAID ~スポーツ界の表と裏~』ではアスリートの資金管理や過剰報道といったテーマのほか、女性アスリート、勝利至上主義の是非、誹謗中傷といった論点で議論を展開。スポーツ界の未来につながるヒントが詰まったコンテンツとなっている。