センバツ高校野球 愛工大名電、アナリスト専門部員 データ分析、選手導く /愛知
◇最新機器駆使、フォームも考案 今春のセンバツに出場する愛工大名電は、昨夏の愛知県大会で3連覇を果たし、甲子園は夏春連続での出場となる。チームの勢いを支えているのが、選手の投打のデータ収集と分析を担う3人の「アナリスト」だ。最新の機器を使って投球や打球の速度などを記録して選手に伝え、上達をサポートしている。【黒詰拓也】 【写真で見る歓喜の瞬間】歴代のセンバツ覇者たち アナリストを務めるのは2年生の早川孝介さんと、1年生の福井芯之介さん、斎藤悠葵(ゆうき)さん。3人は野球経験者だが、「甲子園常連の名門を裏から支えたい」との思いで選手ではなくアナリストとして入部し、練習や試合に帯同している。 主に活用する機器は投手が投げる球の速度や回転数、回転軸、指先から球を放す瞬間の位置を測定できる「ラプソード」だ。近年プロ球団が次々と導入している機器で、投手と捕手の間に置いて計測する。 ラプソードは打者の打球速度や飛距離も測ることができ、バットのグリップに付けることでスイングの速度や軌道を可視化できる機器もある。3人は投打のデータを収集、整理し、選手たちは各自に配布されているタブレット端末で自身のデータを見ることができる。 早川さんは「数字から選手の成長が目に見えて分かった時はとてもうれしい」と話す。福井さんは「同級生の投手が新しい変化球を習得できるよう投球データを提供し、一緒にフォームも考えた。実戦で試すのを見たい」、斎藤さんは「数値を基にアドバイスする時にやりがいを感じる」と語る。 愛工大名電がデータを重視するようになったのは、新型コロナウイルス禍の2020年から。感染防止対策で全体の練習時間が大幅に減る中、選手たちが正確なデータを基に自分の力の「現在地」を知り、目指す「目的地」に向けて効率良く練習するため、機器の本格的な活用を始めた。 当初は野球部コーチがデータを収集、管理していたが、選手に直接指導する時間を確保するため、新入生に各部活動を紹介するオリエンテーションの場でアナリスト専門部員を募集したところ、早川さんが第1号として入部した。新年度にはもう1人加わる予定だ。 倉野光生監督は「選手たちはかつてチームメートと技術を競い合っていたが、今は過去の自分の数値と戦っている。データを見ることで自身のプレーや練習方法もより真剣に考えるようになった。アナリストの存在は大きく、センバツ出場の一助になった」と話す。