遠くからでもバレる!インドでほぼ確でボラれる日本人「歩き方のクセ」、「騙しやすい奴」と思われてしまうワケ
旅人の身体技法が、「カモ」であるかないかの最大の判断材料になっているかのようだ。旅が始まった当初は、本当によく騙されたし、ボラれた。なんで僕ばかり狙われるんだろう? というのが、悩みの1つだった。 その後しばらく僕は、イスラエルからやってきた旅人たちを観察しながら、なぜ彼らには腹黒い奴らが寄ってこないのか、秘訣を探ろうと試みた。そして、その秘密のヴェールが剝がされた瞬間があった。歩き方が違うのだ!
胸を張って、少しガニ股風に大きく歩幅をとる。首はキョロキョロ動かさず、進行方向に固定し、ときおりゆっくりとあたりを見渡す。これだ! と思って取り入れてみると……なんということでしょう! 腹黒い連中との接触が激減したではありませんか! この小さな気づきは、後にとても興味深い問題意識として膨らんでいった。インドにおいては、他者を理解しようとする初期段階において、表面的な情報や「記号」がとてつもなく大きな意味を持つ。つまり初見でわかるさまざまなサインが、重要な意味を持っているのだ。
もちろん、日本社会でも外見が語るものは大きい。しかし、日本においては「他者を外見で簡単に判断してはいけない」という不文律のようなものが存在していて、じっくりと交わらなければ、他者の「人となり」は理解できないのだという感覚を、僕はいつの間にか身につけていた。 ■プライベート情報がダダ漏れのインド ところがインドでは、自らの存在(所属や差異)を提示するための記号に溢れていた。例えば、経済的に豊かかどうかは体格や衣服、装飾で、どの宗教や集団(カースト)に属すのかは衣装やアクセサリー、肌の色や体毛(頭髪や髭)で、未婚/既婚の別は指輪やシンドゥール(既婚女性が頭髪の分け目に沿って塗る朱色の化粧品)、ビンディー(既婚かつ夫が存命中のヒンドゥー教徒の女性がつける額の印。近年は美しい装飾が施されたシールを貼ることが多い)や腕輪(チューリー、バングル)で、といった具合に。あからさまな表現だ。