【回顧2024】最後の日朝首脳会談から20年…切られなかった「訪朝カード」拉致被害者・曽我ひとみさん単独インタビュー
曽我ひとみさん 「少しでも前に進むのかな、と。交渉のテーブルを一日も早く、一時間でも早く作っていただきたいです。」 そして、2024年、北朝鮮側も動きを見せました。金与正氏が、「すでに解決された拉致問題を両国の関係の展望の障害物として置かなければ、首相が平壌を訪問する日も来るだろう」とする談話を出したのです。しかし、日本側が「拉致問題が既に解決されたとの主張は全く受け入れられない」と表明すると、一変して「日本側とのいかなる接触も交渉も無視して拒否する」と態度を硬くしました。
安倍政権下で拉致担当大臣を務めた拉致議連会長・古屋圭司議員は、訪朝には結果が求められると指摘しています。
安倍政権下で拉致担当相 拉致議連会長 古屋圭司議員 「条件をつけずに会うというのは会うこと自体はいいんですけど、やっぱり解決にはお互いのあれ(思惑)がありますよね。ちゃんと条件が整ったら行くべき。そうじゃない時に行くべきではない。」 田中均 特別顧問 「こういうふうに政権が追い詰められた状況で、北朝鮮のような国とね、そう(交渉)するのはとっても危ないことですよ。足元をみられてしまう。」
■帰国後に自宅で見つけた“着物” 母・ミヨシさんへの思い
曽我ひとみさんの母・ミヨシさんは93歳。友達のように親しかった母だったといいますが、いまも行方は分かっていません。単独インタビューの中で、曽我さんはあるものを見せてくれました。日本に戻った後、実家のタンスから見つかった、一着の着物です。
曽我ひとみさん 「私が拉致をされたのが19歳なので、たぶん来年成人式じゃないですか。そのために母がこっそり準備をしていてくれたものなのかなと思いました。」 (Qもし次お母様に会うとき、どのようなお言葉をかけてあげたい?) 「まずは、たくさん謝ることがたくさんあるので、まずは『ごめんなさい』ってひと言、謝って。それからは、『この長い長い時間、本当に一人で大変だったね』と。そしていろんな話を、たくさん、たくさんしたいと思います」
■取材後記 切られなかった“訪朝カード” 石破政権の“一手”は
この単独インタビューを放送したのは6月。その後、結局岸田首相は“訪朝カード”を切ることはなく、石破政権が誕生しました。 石破首相は就任後、拉致被害者の家族らと面会した際、「拉致事件というのは誘拐事件ではない、国家主権の侵害である」と解決に向けて取り組む考えを強調しましたが、家族らは、石破首相が掲げる日朝両国の連絡事務所設置などに反対しています。一刻も早い解決が望まれる中、石破首相はどのような一手を打つのでしょうか。 (ウェークアップ 2024年6月8日放送分を一部加筆・編集)
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