トヨタ セリカLB 2000GT(昭和48/1973年4月発売・RA250型)【昭和の名車・完全版ダイジェスト079】
時代を先取りした第3のドアを持つGTカー。2L直4DOHCエンジンでよりパワフルに
この連載では、昭和30年~55年(1955年~1980年)までに発売され、名車と呼ばれるクルマたちを詳細に紹介しよう。その第79回目は、当時斬新だったリフトバック(LB)スタイルで一世を風靡した、トヨタ セリカLB 2000GTの登場だ。(現在販売中のMOOK「昭和の名車・完全版Volume.1」より) 【写真はこちら】LBはクーペに比べ全長50mm、全幅で20mm大きくなり、全高を20mm下げられた。さらに実用的なリアゲートも与えられた。いわゆる「ダルマセリカ」と人気を二分することになる。(全7枚)
従来のクーペでもハードトップでもない、新しいジャンルのスペシャリティカーとして昭和45(1970)年 10月に発表されたのが、トヨタ・セリカである。 画像: LBはクーペに比べ全長50mm、全幅で20mm大きくなり、全高を20mm下げられた。さらに実用的なリアゲートも与えられた。いわゆる「ダルマセリカ」と人気を二分することになる。 スラントしたノーズにデュアルヘッドライトを採用し、ボディと一体化したバンパーによって新鮮さをアピールした。ボディサイドもジェット機の層流翼をイメージした、躍動感あふれるラミナーフローラインで引き締められている。 ボディタイプは、センターピラーレスの軽快なノッチバッククーペ・スタイルだ。そのスタイリッシュなボディは、ギャランGTOとともに第17回東京モーターショーの会場でセンセーションを巻き起こした。 エンジンは1.4L4気筒OHVのT型、1.6Lの2T型、 SUツインキャブ装着の2T-B型、DOHC+ソレックスキャブの2T-G型と、4タイプを揃えていた。後に名機としてその名を知られる2T-G型DOHCは、ソレックス40PHHキャブを2連装し、1588ccの排気量から115ps/6400rpm、14.5kgm/5200rpmを絞り出した。 GTを除くグレードでエンジンやトランスミッション、内装などの中から好みに応じて選べる「フルチョイスシステム」を採用したのもセリカの謳い文句のひとつだった。 セリカは爆発的なヒット作となったが、昭和 48(1973)年4月に強烈な兄弟車が出現する。それがセリカにリアゲートを装備したリフトバック(LB)だ。これは昭和46年秋のモーターショーに参考出品されたトヨタSV-1のプロダクションモデルで、セリカよりフロント部分が70mm長い。逆にリアは20mm短く、全高も20mm低くされている。 リアビューは、フォード・マスタングを思わせるスポーティなデザインだ。ファストバックの後端をヒップアップさせ、リアエンドに4分割のスマートなコンビネーションランプとガーニッシュを組み込んでいる。 インテリアは従来のセリカと基本的に同じだ。だが、高級感のある成型天井を採用し、オーバーヘッドコンソールを装備した。インテリアでカスタムS(セリカと同様にフルチョイスシステムを採用)以上を装着するモデルにはウォーニングランプも付く。 乗車定員はセリカが5名、LBは4名となる。リアシートを前に倒せば広いラゲッジルームになるのもLBのセールスポイントのひとつだ。 エンジンは、1.6LがOHVの2T型、2T-B型、およびDOHCの2T-G型で、2T型以外にはレギュラーガソリン仕様も設定した。だが、LBで注目されるのは昭和49(1974)年に投入された2Lシリーズである。 これはマークIIに搭載されていた18R型を移植したものだ。18R型4気筒SOHCは、ボア88.5×ストローク80.0mmの1968ccで、シングルキャブによって105ps/5500rpm、16.0kgm /3600rpmを発生した。この18R型エンジンは、LBだけでなくセリカにも搭載されている。 そしてLB2000GTの専用エンジンとなるのが、マークII 2000GSSから譲り受けた18R-G型 DOHCだ。ソレックス40PHHキャブレターと9.7の圧縮比により、145ps/6400rpm、18.0kgm/ 5200rpmrnを発生。ポルシェタイプの5速MTを駆使すれば最高速205krn//h、0→400m加速16.1秒を可能にした。 また、レギュラーガソリン仕様も設 定されている。この18R-G型は後にクーペ版セリ力にも搭載されたが、当初はLBのみの設定だった。サスペンションは、ストラット/ラテラルロが付きの4リンクを踏襲する。 だが、車重の増加に伴ってサスペンションを強化している。タイヤもGTは185/70HR13ラジアルが標準となり、LSD(リミテッド・スリップ・デフ)もオプションで用意された。 2000GTのインプレッションを簡単に記すると、2Lツインカムが搭載されたが、当時厳しくなった排出ガス規制の影響で、ツインカムとはいえ、はつらつとしたところのないエンジンだったのは事実だった。また、ハンドリングはクーペに比べ大きく重くなったぶんだけ不利だった。 それでもセリカLB2000GTは、時代を先取りしたスポーツビークルであることは間違いなく、ハイウェイからアウトドアまで存分に楽しめるのがうけた。 画像: 斜め後ろから見上げてみたスタイルもかつこいいフォルムとなっている。細かいところを見ていくと1600GTと同じ185/70HR13ラジアルを履くため、フェンダーが少し張り出している。ワイドタイヤも大きな魅力となっていた。 セリカの人気を確固たるものにしたLBの登場を機に、これまでのセリカはクーペと呼ばれるようになった。セリカらしいセリカという意味では、ここが頂点になると言えるかもしれない。
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