マクロン仏大統領、政治的行き詰まり打開に苦慮-社会党取り込み模索
(ブルームバーグ): 内閣が倒れ政治空白に陥ったフランスで、マクロン大統領は社会党と手を組むことによる行き詰まり打開を模索している。
左派連合は極右の国民連合(RN)と手を組んで、国民議会(下院)で不信任決議案を可決させた。この左派の大連合を分裂させ、中道派を結集させるのがマクロン氏の狙いだ。
退陣する内閣のルコルニュ国防相は5日、社会党との同盟を呼びかけた。現時点では、社会党は急進的な極左政党「不屈のフランス」を含む左派の大連合の一員。不屈のフランスは主流派との協力に強く反対している。
「社会党を不屈のフランスから引き離すために、できる限りのことをしなければならない」と、マクロン氏の盟友であるルコルニュ氏はRTLラジオとのインタビューで語った。「緊急を要する」と述べた。
マクロン大統領は5日午後8時に声明を発表する予定。
マクロン氏は以前にも左派グループとの連合構想を推し進めたことがあるが、成功には至らなかった。しかし、4日に政府が崩壊して以来、この構想は再び勢いを増している。
問題は、不人気な大統領を支援する動機が社会党にはほとんどないことだ。フランスは来夏にも再び議会選挙を迎える可能性が高く、社会党の幹部はマクロン氏と手を組めば有権者が離反するのではないかと懸念している。
欧州議会選挙で大敗したマクロン氏が6月に国民議会を解散して急きょ選挙を実施して以来、フランスの政治は不安定な状態が続いている。
選挙の結果、下院は大統領を支持する中道派、左派連合、そしてマリーヌ・ルペン氏が事実上率いる極右政党・国民連合(RN)の3つのグループに分裂。RNが勢力を拡大し議会での最大政党となっている。
RNの議員らは左派連合「新人民戦線(NPF)」と協力すれば政府を倒すのに十分な議席を有している。
NPFが結束してマクロン氏の政策を阻止しようとし続ける限り、ルペン氏には政府を倒す力があることになる。
マクロン氏の中道派連合は理論的には、社会党と緑の党の支持があれば、中道右派からの追加の支持がなくても政権を運営できる可能性がある。しかし、これまでのところ、社会党と不屈のフランスのとの間に亀裂を生じさせる取り組みは成功していない。