【大学トレンド】東洋大が2科目で「学力判定型」の公募推薦を開始へ 専門家「多くの大学が追従する」
ゼロ期入試は受験生が集中する?
年内に学力判定型の公募制推薦を実施している関西の大学をみると、24年度入試の倍率は次のようになっています。 受験の規模が大きい近畿大学で3.7倍、龍谷大学で4.0倍となっているほか、京都産業大学で3.0倍、甲南大学で4.6倍と、いずれも多くの受験生を集めていることがわかります。 「公募推薦は併願も可能ですから、産近甲龍が厳しいなら摂神追桃※、京都橘大学、大和大学を受けるというように、関西は年内に公募制で合格を決めて、2月に一般選抜を受けるという流れが広まっています。いち早く公募制を導入した近畿大学や龍谷大学は、受験生を増やした成功例です」 ※摂南大学、神戸学院大学、追手門学院大学、桃山学院大学
ゼロ期入試の対策は?
東洋大学の公募制は浪人生も受験可能で、倍率が高くなることが予想されます。どのような対策をしておくといいでしょうか。 「入試内容は、英語と国語もしくは数学の2教科が主流です。出題範囲は基本的には高2までの学習内容なので、問題そのものは一般選抜よりも難度は低いといえます。特別な学力は必要なく、低学年のうちから英語、国語、数学の日ごろの学習をしっかりやって基礎学力をつけておくことが大事です。東洋大学はホームページに新規導入の公募制のサンプル問題を掲示しています。既に導入済の大学でも過去問はホームページへの掲示やオープンキャンパスでの配布などを行っています」 どの大学を受験するかという選択も重要になります。 「併願可能といっても、公募制の試験日は11月~12月上旬の土日が中心で日程が限られているので、一般選抜のようにはあちこち受験することはできません。関西では合格の可能性が高い大学を選んで受験する傾向があります」 一般選抜で第一志望校に合格し、公募制で合格した大学を辞退する場合は、入学金は無駄になってしまいます。公募制で合格した大学に入学する場合は、東洋大学の「2段階入学手続き」のように、残りの納付金を2月のどこかで納めることになるので、締切日などスケジュールをよく確認しておく必要があります。 「公募制を一般選抜の前哨戦ととらえて、11月からの受験スケジュールを表などにしておくと、無駄がなく安心です」 東洋大学が導入した基礎学力テスト型の公募制推薦によって、受験生がどう動くのか、今後はどの大学が導入するのか、一般選抜にどのような影響を及ぼすのか、要注目です。
プロフィール
石原賢一(いしはら・けんいち)/教育ジャーナリスト、大学入試アナリスト。京都大学工学部卒。1981年学校法人駿河台学園駿台予備学校に入職。高卒クラス担任、高校営業、講師管理・カリキュラム編成、神戸校校舎長などを歴任したのち、2006年より18年間入試情報部門の責任者として各種マスコミへの情報発信、大学、高校での講演などを数多く担当。24年3月に退職し、現在は43年間にわたる予備校での経験を生かし、少子化が進むなかで大きな岐路に立っている高大接続の現状や今後についての分析、発信を行っている。
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