公立小中高の授業時間、5分短縮されても「現場の負担増える」 専門家に聞く、本当に必要な教育改革とは #令和に働く
「授業時間の短縮の検討もそうですが、枝葉の政策ばかりあちこち試行錯誤しているのが日本の教育改革で、導入してもお金がかからず現場への負担が増えるものばかり。本当に変えたいならば予算を割かなくてはならない時期にとっくに来ていると思います。 日本が教育に割く予算はOECD加盟国の中で常に低いです。先進国では、少人数制が主流になってきているのに、日本ではようやく35人学級に移行しつつあるものの、まだまだ基本は40人学級です。公立学校の子どもたちの学力差は大きく、特に算数・数学と理科において顕著です。大人数の一斉授業ではわからないまま座っている子がたくさんいます。
落ちこぼしをなくすためには、その子に応じた内容をその子に合ったペースで学習する『個別最適化』が急務ですが、そのためには先生の数を増やして少人数指導を実現することが必要です」 親野さんは、教育に予算を割いていかないと、本当の意味での教育改革にはならないと言います。 「昔は、右向け右の一斉集団授業でよかったのですが、今は子どもや親の価値観もそれぞれに違います。先生が子どもや親と正面から向き合っていくことが必要で、授業中や休み時間の何気ない会話や、個別指導、保護者からの悩み事などを聞いて相談やアドバイスをする時間も大切ですし、子どもたちの小さな変化やいじめにも気が付きやすくなります。その時間を作るためにも多くの先生が必要です。新たな施策を始める前に、予算を増やして教員の増員からまず行ってほしいです」
PROFILE 親野智可等さん 教育評論家。本名、杉山桂一。長年の教師経験をもとに、子育て、しつけ、親子関係、勉強法、学力向上、家庭教育について具体的に提案。『子育て365日』『ずるい子育て』など著書多数。Instagram、Threads、X、YouTube、Blog、メルマガなどで発信中。オンライン講演をはじめとして、全国各地の小・中・高等学校、幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会、先生や保育士の研修会でも大人気となっている。
取材・文/内橋明日香 ※この記事は、CHANTO WEBとYahoo!ニュースによる共同連携企画です。
内橋明日香