公立小中高の授業時間、5分短縮されても「現場の負担増える」 専門家に聞く、本当に必要な教育改革とは #令和に働く
授業を5分短縮したことで生まれる年間85時間での活動は各学校に委ねられる方向ですが、鈴木さんは、横並びで物事を決めることが多い学校ならではの負担があると話します。 「担任の先生が、読書や漢字練習など、自分のクラスで行うことだけを決めるならばあまり負担はないのですが、学校というのは横並びのことも考えなくてはいけないので、学年や学校単位ですることを揃える必要があるでしょうね。そうなると、先生同士の話し合いの時間はいつ取るのかと思ってしまいます。「学校に応じた活動を」というのは、聞こえはいいですが、現場の負担は増えるだけだと思います。
何か新しいことを始める時はいつでも大変です。過去の例で言うと、総合的な学習の時間やプログラミング教育が導入されたときも大変でした。教材研究もそうですし、それぞれの地域で特色のあることをと言われても、そもそも県外出身で地域の特性を知らない先生も多いです。地域の方との連携も必要になってきます。 学校の先生が見えるところ以外でいかに仕事をしているかを知ってほしいです。会議も多いですし、放課後も外部と連携や保護者への対応、教材研究にも追われています。極端な話、すべてを断って帰ることもできますが、根が真面目な方が多いので、残業をしたりストレスを感じたりして辞めてしまう方が多いのも現状です」
鈴木さんは新たに何かを始める際には「何かをやめる必要」があるといいます。 「現状、文科省が考えていることは、ただ足し算が繰り返されているだけです。新しいことを導入するなら何かをやめないと、現場への負担は増え続けるだけ。授業を5分減らして、新たなことを考える必要があるというのをわかってほしいと思います」
■専門家に伺う「5分短縮」のメリットとデメリット なぜ文部科学省は、授業時間の短縮を検討しているのでしょうか。教育評論家の親野智可等さんは、その狙いと現状が見合っていないと指摘します。